地域活性学会 The Japan Association of Regional Development and Vitalization

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|研究論文集「地域活性研究」Vol.15(2021年10月発行)目次


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~ 目次 ~

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研究論文

日本におけるクラフトビール醸造所の立地要因と成長課題

大森寛文(明星大学経営学部)

論文要旨▼
本稿では、1994~2020年における日本のクラフトビール醸造所(487件)の立地要因を分析し、成長課題を考察した。その結果、今日の日本のクラフトビール業界は、(1)独立事業者が運営組織全体の半数近くになり、自らの裁量でクラフトビールを広めていく主体として確立されつつあること、(2)彼らは、人口が多く、40-54歳人口かつ所得が高い消費者が多く存在する大都市を中心にビジネスの基盤を築きつつある段階にある、ということが明らかとなった。今後の成長のために、積極的に地域住民のネットワーキングを促進したり、地域活動への関与を深めたりすることにより、「地元地域-醸造所-ビール-顧客」の間の結びつきを強固にする戦略を展開する必要がある。
 

地域との協働による高校教育改革で認められる自発的展開に関する考察

松田 玲奈、狩野 幹人、西村 訓弘(三重大学大学院地域イノベーション学研究科)
 
論文要旨▼
近年、高校を活用した地域課題解決の取組が注目されている。この取組は、現代の教育改革と地方創生という大きな2つの流れが重なり合う「結節点」を起点に生じたとの見方がある。本稿では、この結節点という考え方に着目し、高校を活用した地域課題解決の取組が持つ意義を、探求・実践型教育の変遷を足掛かりとして考察した。またこのような取組が三重県においてどのように定着をしているか明らかにする実態調査も行った。その結果、各校の実態に合ったかたちで自発的に取組が行われている新たな動きが見られた。この自発的な動きでは「人によるつながり」が大きな役割を果たしていた。
 

地域小規模食品加工業における地域アイコン商品を活用したサプライチェーンモデルの構築
-『惣菜カテゴリーにおける一時的競争優位の連続モデルを用いた地域活性化の試み』-

                               矢野健三* 閔庚炫** 中村正伸**
                 (*香川大学大学院地域マネジメント研究科協力研究員、**香川大学)

論文要旨
近年食品小売業を取り巻く経営環境は劇的に変化し、特に大手食品小売業者は地方食品小売業者との合併・系列化などの流通再編を進めている。この影響を受け、地域小規模食品加工業では、主要な販路を絶たれ、経営難に直面している業者も少なくない。本研究では、地域活性化の戦略的オプションとして各地で取り組まれている「地域ブランド商品」の活用とは異なるアプローチとして、「地域アイコン商品」を活用した、商品ごとの地域クラスター組織編成、生産能力に応じた販路開拓、の手法を用いた、地域新規需要額と経済波及効果の推計を試みた。その結果、地域活性化への寄与効果と共に、再現性の高いサプライチェーンモデルを示すに至った。

 
 

研究ノート

内発的発展論からみたBOPビジネスの農村活性化 
-インド・ドリシュティ社を中心として-

足立 伸也(法政大学大学院博士後期課程)
 
論文要旨▼
内発的発展論は、地域の特徴を踏まえ、地元人材が主体となり、発展を考えるアプローチである。本研究では、宮本(1989)の内発的発展論を分析枠組みとした上で、企業のBOPビジネスを通じた途上国の農村活性化の可能性を論じた。事例企業は、インド農村で20年以上BOPビジネスを実施するドリシュティ社とし、同社が農村にどのような影響を与えているかを分析した。以上の検討を通じて、農村地域を巻き込むビジネスモデルにより、農村起業家、農村社員(モビライザー)の雇用が生み出され、キー・パーソンである農村起業家とモビライザーを介した地域住民のニーズに基づく商品・サービスの提供を通じて、農村活性化にも繋がっている点を明らかにした。
 

最低賃金の地域雇用への影響
――東北6県ハローワークデータにおける傾向

飯田泰之(明治大学政治経済学部)
 
論文要旨▼
最低賃金は、地域間の経済状況の異質性に配慮して都道府県別の設定が行われている一方で、都道府県内では同一の最低賃金が適用される。最低賃金からの影響が都市規模・労働市場規模によってどのように異なるかを知ることは、都道府県内各地域における雇用政策を考える上で、重要な意味を持つ。本稿では、公共職業安定所(ハローワーク)における求人・求職バランスシートに注目することで、都市圏・雇用圏毎の労働市場変数を収集し、労働市場の規模による最低賃金の影響差について東北地方における傾向を整理した。その結果、最低賃金の上昇が労働供給を刺激する効果については小都市・郡部等でより大きくなる傾向があること、最低賃金上昇の労働需要拡大効果は都市部において相対的に強いことなどが導かれた。また、最低賃金制度からの影響が大きいとされるサービス・販売職については、当該産業の有効求人倍率に負の影響を与える可能性があることなどもあわせて示唆される。
 

地元住民との関係性と社会的葛藤に関する空き家移住者と新築移住者の比較分析
-長野県池田町の空き家バンク制度を事例に-

伊藤将人 (一橋大学社会学研究科博士後期課程)
 
論文要旨▼
近年、多くの地方自治体では移住促進と空き家解消を目的に空き家バンク制度の設置が進んでいる。先行研究では空き家への移住がコミュニティとの関係づくりを比較的容易にするなど指摘されてきたが、住まいの違いと制度利用の有無で関係づくりに差があるのかは確認されていない。本稿では長野県池田町を事例に、空き家移住者と新築移住者で、地元住民と形成する関係性や社会的葛藤に差があるのか、それに空き家バンク利用の有無は影響を与えるかを調査した。結果、空き家移住者は新築移住者より地元住民との社会的葛藤をかかえる傾向が明らかになった。理由として居住地の違い、仲介方法の違い、期待値の違いが影響している可能性が示された。
 

観光教育の自律性と次世代人材の自己形成過程に関する研究
‐地域風土のコンテクスチュアリズムに導かれる教育観に着目して‐

衣幡 征治・上山 肇(法政大学大学院政策創造研究科)
 
論文要旨▼
長く観光産業への貢献を担ってきた観光地域が停滞しつつある現在、観光教育もまた自律性が問われている。今後あるべき観光教育の方向性は、その比重を学習者の自己形成の本質に求めることにより見出されるのではないかと考えるが、本稿で行った観光教育の現状と専門家による旅の経験や地域及び教育活動を記述した言説による分析からは、初等中等教育を補完する周辺教育の役割や高等教育による実践教育の捉え方、また海外への旅から得られる精神的価値観や地域風土に対するコンテクスチュアリズムにその可能性を見ることができた。
 

新型コロナウイルス感染症による地域生活者への影響
―フードバンクの食品提供依頼書の分析から―

岩垣穂大(日本女子大学人間社会学部)
論文要旨▼
2020年初頭より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、フードバンクにおける食料提供のニーズが急増した。そこで、本研究では生活に困窮する世帯の実態について明らかにすることを目的に埼玉県で活動するAフードバンクに寄せられる食品提供依頼書の分析を行った。調査期間は2020年1月から7月とし、月別依頼件数、利用者の年齢・性別、世帯構成等を分析した。分析の結果、ひとり親世帯や若年世代、年金だけでは生活ができない高齢者等から食品提供依頼があることが明らかになった。今後、経済不況の影響を大きく受けやすい世帯が困窮状態に陥らない支援が必要である。
 

我が国における地域ブランディングの特性に関する考察 -海外との比較を踏まえて-

岩田賢(東京都立大学大学院)
 
論文要旨▼
我が国における地域に関するブランディング研究につき、文献レビューを通じ、その系譜や目的等を整理し、海外との比較を踏まえ、その特性を明らかにした。我が国の特性としては、海外との比較において、①マーケティング理論の適用の違い、②研究対象の違い、③対象範囲・スコープの違いの主に3点の相違を有することが確認された。こうした我が国の特性を踏まえ、まちづくりなど地域社会重視の取組みと融合した日本型地域ブランディングの制度設計の必要性や、地域ブランディング・マネジメントに関するモデル化につき、政策的インプリケーションを提示。
 

地方新聞記事を対象にしたテキストマイニングの試み
-6次産業化と地域商社をキーワードとして-

内山大史(弘前大学)
 
論文要旨▼
地方創生を志向した、地域での人材育成事業は引続き重要な取組みであり、地域の現状を踏まえたうえで、適切な 情報・データ分析を行い活用することが必須となる。これまで全国紙レベルの新聞記事のテキストデータを対象とした可視化の検討はいくつか報告されており、その有効性が注目を集め始めている。本研究では、地域活性化に資するために、より地域に根差した情報が掲載されている地方紙の記事を対象としたデータ分析と可視化が有効か検討を行った。キーワード「6次産業化」および「地域商社」それぞれについて4つの概念にコーディングし、年次変化を確認した結果、その変容を可視化するのに十分有効であるとの認識を得た。
 

アントレプレナーシップ教育におけるLEGO®︎ SERIOUS PLAY®️の活用可能性
―四万十町における社会起業家育成プログラムを事例としてー

岡本廉(高知大学大学院)・須藤順(高知大学)
 
論文要旨▼
本稿では、アントレプレナーシップ教育におけるセルフアウェアネスの重要性に注目し、その育成に向けたLEGO®︎ SERIOUS PLAY®️(LSP)の有効性を検証することを目的としている。具体的には「地域イノベーター養成講座(高知県四万十町)」の受講生を対象としたテキストマイニング(LSPプロセスの振り返り)と、質問票調査(Grit及び自己効力感)を実施した。その結果、受講生の思考や感情などに対する認知行為と、自分自身の価値判断や意思決定に基づく対象についての言説の表出が確認された。また、Gritとその下位尺度である情熱への正の影響、自己効力感への負の影響が示唆された。
 

感染症拡大による地方移住への意識変容

加藤研二(阿南工業高等専門学校 創造技術工学科)
論文要旨▼
2020年に感染が拡大しはじめた新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言発令により,多拠点居住ならびにワーケーションへの意識が高まっている.そこで,本研究では緊急事態宣言発令前と発令時における多拠点居住ならびにワーケーションに対するパネル調査を行い,感染拡大期の意識変容について明らかにする.
分析結果より,新型コロナウイルス感染症流行後に多拠点居住およびワーケーションに興味を持った可能性が高いが分かった.特に多拠点居住への興味は男性で年代が若いほど興味を持つ割合が高く,ワーケーションに対しては,女性で年代が高いほど興味を持つことが分かった. 
 

政策に民意を反映させる運動の在り方についての一考察
―霞ヶ浦高浜入干拓事業を例にして―

菊地章雄(国立環境研究所,NPO法人霞ヶ浦アカデミー)
論文要旨▼
住民運動は政府や自治体に対し働きかけにより民意を伝える手段であるが、運動成功の要因について運動理論を評価したものは少ない。本研究では、霞ヶ浦高浜入干拓事業とその事業に反対する住民運動を取り上げた。霞ヶ浦高浜入干拓事業は、約1,400haの農地を造成する、国内の湖沼干拓では八郎潟に次ぐ規模の干拓計画であったが、1970年代に中止となった。中止の理由は、コメの余剰や水需要増加とされているも、住民運動についての評価は少ない。そこで、霞ヶ浦高浜入干拓事業に対する住民運動について、コミュニティ・オーガナイジングの運動理論と比較することで評価した。この住民運動が長期にわたり継続的に、かつ組織的に運動を展開したことにより、民意が反映され事業が中止に至ったと結論した。
 

地域活性化に資する公共空間における公共性の実現プロセスに関する考察
―紫波町オガールプロジェクトの市民参加型公共施設整備の事例から―

東海林伸篤・風見正三(宮城大学大学院事業構想学研究科)
 
論文要旨▼
本研究では、公共施設の公共性の要素に着目し、施設整備プロセスにおける市民参加の効果と専門家と行政職員の役割を明らかにすることを目的とする。本研究において対象事例とした、岩手県紫波町オガールプロジェクトの紫波町情報交流館は、紫波町長の「対話の町政」の方針を踏まえ、市民参加型により整備され、結果として民間テナントの収益向上につながる集客施設として機能している。検証の結果、市民参加により図書館の概念の拡張され、行政職員・専門家との協働が、共有する目的を明確化するとともに市民に開かれた施設整備につながったことを明証した。
 

都市空間を活用した新興コンテンツのスタンプラリーイベントの類型と特徴

石陽(佐賀大学 工学系研究科 システム創成科学専攻)
有馬隆文(佐賀大学 芸術地域デザイン学部)
論文要旨▼
本研究は日本で開催された47件のアニメなどの新興コンテンツを活用するスタンプラリーイベントを対象として、イベントを開催する都市の規模、使用するコンテンツの特徴と都市の関係、また、イベントの目的地に使われる都市空間とイベントに使用されるコンテンツとの関係性、イベント目的地の分布パターンと回遊性について分析を行った。それらの特徴を踏まえて、主成分分析とクラスター分析を用いて、新興コンテンツのスタンプラリーイベントを「交通利用促進型」「広域聖地めぐり型」「市街地聖地巡り型」「観光商業調和型」「経済活性化促進型」の5類型に分類することができ、各類型の特徴を明らかにした。
 

環境負荷低減を目指すMICE:GMsのしくみと地域にもたらされる副次的効果に関する考察

高澤由美(山形大学)
論文要旨▼
オーストリアでは国レベルで環境負荷の低減に取り組んでいる。MICE産業においても環境負荷の低減を目的とする制度GMsを創設し業界全体で廃棄物や二酸化炭素の排出を減らそうとしている。本稿ではこのGMsの仕組みとGMsに取り組むことによって地域にもたらされる副次的効果についてオーストリア・チロル地方の事例をもとに制度や開催実態を考察した。その結果、GMsは認証制度であり、定められた基準を満たせば着実に環境負荷の低減につながるしくみが整っていること、そしてGMsに取り組むことによって地域が得られる副次的効果は、地域資源を生かしながら地域や組織のイメージの向上が期待できる点にあるといえる。
 

観光地域で見られるアクター間の価値共創
――福島県西会津町の事例を通して――

田原洋樹(明星大学経営学部)
論文要旨▼
本研究の目的は、観光地域1)で見られるアクター間の価値共創の実態を解明することである。「関係人口」をはじめとする地域外人材が、地域と接点を持つ機会は増えているが、地域に入るきっかけや、地域内での価値共創の実態は捉え切れていない。そこで、西会津町を事例とし、地域と接点を持つようになった多様なアクターの活動実態の可視化を試みた。サービス・エコシステムと知識創造プロセスを分析の視点とし、SCATで理論記述を行った結果、実践場と地域という2つの「場」の往還、地域内で知識を共有する拠点の活用、価値共創を前提とした制度的論理の共有が観察された。
 

公立大学の設置過程に関する一考察 ―令和の事例を参考に―

鳥山 亜由美(法政大学大学院公共政策研究科)
 
論文要旨▼
2020年度入試において、私立大学は593大学中184大学がいわゆる「定員割れ」となった。他方で、公立大学は2019年度以降に6大学が開学した。公立大学は設置後、自治体及び公立大学法人により持続的に運営していくことが当然に求められる。進学需要に対する受け皿が十分に存在する中で、自治体が、新たな公立大学法人あるいは既存公立大学法人に公立大学の設置を決定した過程、また新たに公立大学を設置した目的について、本稿は、三条市立大学及び芸術文化観光専門職大学を事例とし分析した。その結果、人口流出への対策はもとより、当該地域に従前より根付く産業及び資源を素材とした、かつ、立地する自治体を中心とした比較的狭い地域における人材の育成を行うとともに、大学の教育研究活動を通してそれらの地域産業及び資源をさらに活性化させる相乗効果を狙って、大学が設置されたことが明らかになった。既存大学の拡充を通じてこの目的を達成しようとした場合には、自治体ほか大学関係者との複雑な調整が必要となるため、迅速に叶えることが困難であると推察されたことも背景にあろう。
 
人生100年時代の行政とNPO協働の創造価値は何か:山口県萩市の公的施設運営を事例として
 
 
中尾 公一(兵庫県立大学)
 
論文要旨▼
住民参加による公的施設の運営や観光まちづくりの重要性が研究や実務者の間で繰り返し謳われている。しかし人生100年時代の文脈で住民参加による行政とNPOの協働や観光まちづくり、そして住民自身に価値をもたらすのかについて、具体的考察はなされていない。本論文では多くの住民が多様な活動に参加する、山口県萩市の3つの公的施設の行政とNPOの協働による運営を事例に関係者からの聞取調査に基づき、住民参加を促す配慮、住民参加が施設運営や住民自身にもたらした価値を定性的に分析した。その結果、行政が資金・募集面でNPOが運営管理面でボランティアを運用し、施設のハード・ソフト両面の利用価値を改善し、多様な住民が能力や善意を発揮できる場を提供することの重要性を確認した。
 
酒類の購買と日本酒嗜好に基づいた地域酒造の消費者の類型的特徴
 
永野 萌(山陰合同銀行(元・島根大学大学院自然科学研究科)),保永 展利*(島根大学)
 
 
論文要旨▼
本研究は、地域の清酒製造業(地域酒造)の消費者における酒類の購買と日本酒への嗜好の類型的特徴を明らかにすることを目的とした。島根県内の地域酒造組合等を通じたWebアンケート調査で得られた消費データをもとに消費者の購買と嗜好の特性を定量的に明らかにした。分析の結果、第1に、消費者の嗜好を「情報」「銘柄ブランド」「原料米」「味」「場」の5因子で説明することができた。第2に、消費者は「原料米重視層」「情報重視層」「ブランド重視層」「自己経験重視層」の4つに分類できることが明らかになった。第3に、消費者類型は、酒類への興味の違いや購入場所、情報取得源から特徴づけられることが確認された。
 
過疎地域で域外大学生による地域の一員としての活動を促すコミュニティ型居住モデルの実証
-鳥取県大山町における「週末住人プログラム」の実践から-
 
松浦生(慶應義塾大学SFC研究所)、稲垣円(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科)、
玉村雅敏(慶應義塾大学 総合政策学部)
 
論文要旨▼
本研究では、大学生不在の過疎地域で、「域外大学生による地域の一員としての活動が継続的に行われている状態」を実現するモデルを、仕組みと活動の「持続性」に着目して設計した。そして、活動評価フレームワークを設定し、鳥取県大山町にて「週末住人プログラム」を2年間実装して効果検証を行った。その結果、基盤的仕組み:(1)滞在拠点(2)移動支援 の持続的運用には域外大学生による自発的協力が重要で、活動の持続的創発にはコーディネート機能:(A)地域情報提供・アクター紹介(B)域外大学生の対話促進が必要と示された。また、域外大学生と地域アクターのルール・ロールの共有が意識ギャップ解消に寄与することが示唆された。
 

事例報告

J-クレジットを活用した公有林の森林整備と地域活性化の可能性


石井洋二(東洋大学大学院経済学研究科公民連携専攻)
 
論文要旨▼
日本の地域における森林・林業は、林業従事者の減少、高齢化などの深刻な問題をかかえている。また、森林所有者や林業従事者が所有ないし管理している森林を放棄し、手入れが行き届かない荒廃した森林が各地で散見される。このように、地域社会の貴重な自然資源でもある森林への整備に対して、J-クレジット制度を活用して外部資金を地域コミュニティに流入させ、森林整備の財源に充当し適正な森林整備を進めて行く試みに着目した。
 

データから見た大学と地域企業との連携の実態

石橋史朗(会津大学 産学イノベーションセンター)
 
論文要旨▼
大学における社会貢献の使命が注目される中、地域活性化に対する大学の果たす役割にも期待が高まっている。本論では、大学の地域連携の1つの指標として、地域企業との協業の実態をデータから可視化することを試みた。大学の共同研究の相手先企業を、県内・県外、大企業・中小企業でそれぞれ分類し、県内比率や大企業比率の状況から地域連携の実状について調べた。その結果、首都圏の大学とそれ以外の地方大学とでは、地域連携の傾向に大きな差があること、また国公私立大学ごとに特徴があることもデータから明確になった。地域企業、特に中小企業との連携は、企業側のニーズを起点とした協業である場合が多く、課題解決型アプローチが地域活性化には重要と考えらえる。
 

雪を活かした地域活性化
―山形県大蔵村の事例をもとに―

小野英一(東北公益文科大学)
 
論文要旨▼
数の豪雪地である山形県大蔵村では、雪を地域資源として活かし、地域活性化につなげる様々な個性ある取り組みを行ってきている。これまでも大蔵村における雪を活かした事業やイベントについての断片的・散発的な情報提供や報告などはあったが、雪を活かした地域活性化という観点から大蔵村の取り組みについて包括的にまとめたものは不在している。また論考レベルにおいても、先行研究は不在している状況にある。本稿では、はじめに大蔵村の概況と降積雪の状況についてまとめる。次に大蔵村における雪を活かした地域活性化の取り組みを取り上げ、事例報告を行う。最後に、今後の取り組の課題と研究課題について述べ、全体をまとめる。
 

新種・クマノザクラを観光資源とするための考察

岡山 大成、垣内 貴、大西 昌子、西村 訓弘
(日本クマノザクラの会、三重大学大学院地域イノベーション学研究科)
 
論文要旨▼
熊野地域で長年ヤマザクラと混同されていた「クマノザクラ」が、百数年ぶりに発見された新種の桜として認識された。新種の桜を熊野市では地域創生に活用しようと多方面から取り組んでいる。しかし、他県(和歌山県)の動きは早く、熊野市の動きはやや後手に回っているという。そこで、三重大学も加わり、新たな観光資源としてクマノザクラおよび史跡等を最大限に活用した取り組みを考えるに至った。本報告では、特にクマノザクラに焦点を当て、熊野市の創生戦略を考察する。
 

東京都および近郊における特例子会社の事例報告
聴覚障害者にとって働きやすい職場を実現するために
                                                                                                         

楠田弥恵 (横浜市立大学)
 
論文要旨▼
聴覚障害をもつ人々の多くは、手話をはじめとする合理的な配慮がなされた職場環境において、その能力を大いに発揮している。では、適切な配慮とはどのようなものであろうか。
聴覚障害者の戦力化に成功している東京およびその近郊の特例子会社4社を取材し、各社に共通してみられる配慮の内容を分析した。
 

複業を通じた人材交流による地域活性化                                                                                                         

西川洋行(県立広島大学)
 
論文要旨▼
地方の企業の減少や地域社会の衰退といった地方創生の課題の多くは、地域を担う人材の問題に拠るところが大きい[1]。地方の人材問題解決のために大都市圏の人材を地方に誘致し、地方の仕事に都市部の人材が従事する「複業」を掲げたプロジェクトを実施した。「複業」では移住や転職を伴わないため大都市圏の人材にとってはリスクが低いうえに、自身の能力を活かすチャンスが増えることになる。また、受け入れる地方の企業にとっては、都市部の人材が持つ高度な専門性を活かした新たな事業や業務改善等の導入を、低コストかつ低リスクで試行することができる。大都市圏と地方の仕事を通じた交流による関係人口の創出が期待され、地域社会全体の活性化につながるものと期待される。
 
 
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