地域活性学会 The Japan Association of Regional Development and Vitalization

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|研究論文集「地域活性研究」Vol.13(2020年10月発行)目次


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~ 目次 ~

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研究論文

ベスト・ワースト・スケーリングによる温泉地への期待に関する定量分析

 

-玉造温泉の日帰り旅行者を対象として-

 

赤沢克洋(島根大学)・古安理英子(島根大学)
論文要旨▼
本研究の目的は日帰り旅行者がもつ温泉地への期待を定量的に明らかにすることである。そのために、ベスト・ワースト・スケーリングを援用してランダムパラメータロジットモデルの推定を行った。その結果、①日帰り旅行者にとって温泉地への期待として最も重要度が高いのは温泉であること、②温泉街散策や観光名所についても温泉地への期待として重要であること、③旅行愛好、写真愛好の選好、同行者、五感への期待をもつ旅行者ほど温泉地へのさまざまな期待の重要度が相対的に高いこと、④旅行者のいくつかの属性・選好・旅行の発動要因と温泉地への期待の重要度には理論整合的な関係が確認できることが示された。

 

地域伝統産業のネットワーク分析によるイノベーションハブの機能及び媒介中心性の特定

 

粘土製品を中心とする陶磁器産業の共同特許出願の協働を事例として-

 

大島裕市・保井俊之・当麻哲哉(慶應義塾大学)
論文要旨▼
地域伝統産業の多くが近年、安価な海外製品に押され衰退傾向にある中で、産地の集積ネットワークを生かした高付加価値製品の共同開発のためのイノベーションハブの形成が注目されている。本研究は地域伝統産業のイノベーションハブの機能及び媒介中心性の特徴を、近年こうした動きが顕著である粘土製品を中心とした陶磁器産業の共同特許出願の事例を研究のフィールドにして、ネットワーク分析により特定し可視化した。結果として、大学等の研究機関が媒介中心性を発揮する先端産業とは異なり、地域伝統産業においては、同業種多集積産地の企業がイノベーションハブにおける高い媒介中心性を発揮することを示した。

 

地域の場としての公共図書館が関与者にもたらす自己変容プロセスの構造化

 

―グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた武雄市図書館の分析―

 

山崎 茜・保井 俊之・前野 隆司(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科)
 
論文要旨▼本研究では、公共図書館が地域の場(ba)として利用者にどのような変容をもたらすのかを可視化し構造化する。分析フィールドとして、地域志向の図書館の先駆例として注目を集める佐賀県武雄市図書館を選び、グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)により分析した。その結果、関与者には、外部刺激により自立行動が促され、オーナーシップを持った行動すなわち、わがこととなる状況での試行錯誤による成長が実感され、自己と活動の広がり及び地域への利他的意識が醸成され、意識変容が生じていることを明らかにした。また、地域の場としての武雄市図書館の機能は、外部刺激による個人の動機づけ、外とつながる場、活動の場、自由さ及び選択できる居場所の提供、並びに他者から見られる劇場型空間であることを示した。

 
 
 
研究ノート

新興ワイン産地における小規模ワイナリーの存立構造に関する実証的研究

 

―北海道を事例としてー

 

石川 尚美(東京農業大学大学院 生物産業学研究科)
論文要旨▼北海道では毎年ワイナリーの開業が相次いでおり、2018年には「地理的表示(GI)」を取得、国内外から注目を浴びている。しかし、日本の新興ワイン産地に関する研究は未だ少ない。本研究は、実態調査に基づき、北海道におけるワイン産地の形成要因やワイナリー経営の二極化を指摘し、小規模ワイナリーを多角的に分析、考察したものである。その結果、起業動機や経営方針には経済合理性のみならず、独自の価値観に基づいた品種選択や販売戦略があること、新規参入を促進する多様なインキュベーターの存在、ワインクラスターが実際には部分的、偏在的なレベルに留まっており、多くのワイナリーが新規就農や農業の六次産業化としてのワイナリーへの道を歩んでいる事が明らかになった。

 

社外のプロボノを活用した地域の中小企業の価値創造プロジェクト

 

NPO法人G-netによるふるさと兼業の事例よりー

 

今永典秀(名古屋産業大学)
論文要旨▼本研究では、イノベーションを実現する人材やノウハウが不足しがちな地域の中小企業が、外部のプロボノ人材を活用して、3か月間プロジェクトチームとして事業の価値創造に向けて協働する「シェアプロジェクト」及び「ふるさと兼業」の事例より、事業の概要と成果を調査分析した。本事例は、NPO法人G-netが主体となり、2018年9月から実施し、コーディネーターとして、企業とプロジェクト設計や、参加者の募集・マッチング、プロジェクトの伴奏支援の役割を果たした。この伴奏支援プログラムにより、地域の中小企業による価値創造の実現事例と、大手企業の研修プログラムとして機能することが確認できた。また、参加者が地域の中小企業における実践経験によるスキルアップに加え、地域企業の担当者にとってのリーダーシップ発揮の機会となり、外部人材との協働が実現することで、人材育成面で機能することが把握できた。

 

観光地に立地する中小飲食店のプロセス・イノベーションに関する事例研究

 

ビッグデータの活用を中心に―

 

小田島 春樹(三重大学大学院地域イノベーション学研究科)
 
論文要旨▼本研究は、ビッグデータを活用した来客数予測式を導入して、顧客管理の改善を図ることにより、観光地に立地する中小飲食店のプロセス・イノベーションを実現する事例に関する考察である。Porterに示される価値連鎖の枠組みを参照して、観光地に立地する中小飲食店の価値連鎖モデルを筆者が編集・作成した。価値連鎖における支援活動の一部分としての顧客管理にイノベーションを引き起こすきっかけとして焦点をあてた。事例では、POSレジに蓄積された顧客情報や天候や宿泊数などビッグデータを活用して、来客数に関して9割に近い精度で予測をすることにより、仕入のロスをなくし、労務人事管理を効率化し、従業員の待遇改善を実現した成果が得られた。

 

高校生が推進する高校魅力化プロジェクトの実装と評価

 

広島県立油木高等学校におけるドローンスクールを通じた実証実験から-

 

貫洞聖彦(慶應義塾大学SFC研究所),稲垣円(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科),
玉村雅敏(慶應義塾大学 総合政策学部)

論文要旨▼地域資源を教育資源として活用し、特色ある教育活動の実現を目指す「高校魅力化」が注目されている。本研究では、高校生たちが自らの学習環境を地域で作ることによって高校魅力化を行うアプローチを検討し、広島県立油木高等学校にて実装と検証を行った。具体的には、本研究において設計した高校魅力化プロジェクトをもとに、実装活動を2年間実施した。また、その検証として、(1)実装活動の開始時、(2)実装活動の実施後(開始1年後)、(3)実装活動の1年後(開始2年後)の3回、活動量の持続性や心理的変化の観点から調査をした。その結果、地域での「課外活動の活動量」と参加者の「地域愛着」や「地域貢献意欲」に正の相関が示され、コミュニティに対する効果も示された。

 

ポストコロナ時代における長崎県五島市畜産業のリレー型就農モデル研究

斉藤俊幸(地域再生マネージャー) 
 
論文要旨▼コロナ禍を契機に食料の国内回帰が注目され、都市のコンパクト化の対岸にある農村集落撤退という地域政策も再考が求められる。畜産業振興は食料自給のみならず、耕作放棄地の放牧地化といった農地存続機能を有しており、ひいては集落政策に大きな影響を与える可能性がある。五島市久賀島は広大な農地があり畜産適地である。本研究では畜産農家の創業から10年間の子牛の生産数に着目し、畜産農家の成長モデルを想定するとともに地元30代農家と50代大都市人材によるリレー型就農モデルを検討した。畜産農家は生業として生きられるが雇用を生まない。リレー型就農は10年後に100頭の子牛生産体制に近づき4人程度の雇用創出が可能であり集落存続に寄与できる。

 

地域からの新たな価値創造に関する一考察

 

~ 東日本大震災復興事業におけるマッチングプランナーの機能とは~

 

佐藤 暢(高知工科大学)
 
論文要旨▼本研究では、東日本大震災後に国が進めてきた震災復興事業において被災地に配置されたマッチングプランナーに焦点を当て、マッチングプランナーが果たした機能を社会科学的な観点から明らかにすることを試みた。現地インタビュー等を通じ、マッチングプランナーは「新たな価値を生み出す」「新たな繋がりを生み出す」「地域での絆を生み出す」機能を果たしてきたことが明らかとなった。また、組織間関係論に基づく理論考察からは、マッチングプランナーは「産」と「学」が互いに知る機会を創出し、互いが有する資源の有用性に気づかせ、新たな連携をもたらす機能を果たしてきたことが改めて浮き彫りにされた。

 

旅行業界におけるユニバーサルツーリズムの一考察

鈴木一寛(フィールドウォッチャー)
 
論文要旨▼本研究では、観光庁の2018年度の調査結果により、旅行業界においてユニバーサルツーリズムが進んでいない現状を整理する。続いて、ユニバーサルツーリズムの市場拡大に向けた課題が、訪問先でのサポート体制の確保や専門知識の習得・人材育成といった人的要因であることを明らかにする。最後に課題の解決に向けた国や旅行業界の役割について考察をする。一方では、ユニバーサルツーリズムのインバウンド分野について情報が不足しており、今後の研究課題とした。

 

宿泊産業における外国人雇用の実態とその効果、課題について

-山梨県との共同調査をもとに-

田中敦(山梨大学) Atsushi TANAKA (Yamanashi University)

郭玲玲 (JTB総合研究所) ReiRei KAKU(JTB Research & Consulting)

論文要旨▼訪日観光客の急増に伴い、宿泊産業における人材不足は喫緊の課題であるが、他産業に比べ給与水準や労働条件が悪く、採用や定着に苦労する状況が続いている。こうした中、国は2019年に新たな在留資格「特定技能」を創設する等、外国人の雇用を推進し課題の解決を目指している。一方、宿泊産業は他の産業と異なり、単に日本人従業員の量的な不足を補うだけでなく、外国人観光客へのサービス向上やマーケティング活動における貢献が期待される。本研究では山梨県内全施設を対象とした外国人雇用に対する調査をもとに実態を明らかにし、外国人雇用がもたらす付帯的なプラスの効果を認識する経営者が多く存在することを見出した。

 

埼玉県西部地域におけるフードバンクの役割と機能に関する研究

萩野美鈴(早稲田大学人間科学部),岩垣穂大(日本女子大学),扇原 淳(早稲田大学人間科学学術院)
 
論文要旨▼フードバンクは地域に密着した活動であるため,地域ごとの特徴や課題によってそれぞれ役割や機能は異なる.本研究では,埼玉県西部地域を対象として,フードバンクの役割と機能について検討した.調査には,FBN 西埼玉のトレーサビリティシステムと食品提供依頼書のデータを用いた.集計の結果,67の寄付元から食品の寄付があり,72の団体と276人の利用者に食品が提供されていた.食品は 18 品目に及び,集められた12.4t のうち,11.2t が提供されていた.生活困窮者支援に関しては,相談支援機関の地域性や利用者の特徴が明らかになった.今後は,フードバンクが有する情報を他の相談支援機関と共有することで,生活困窮者により効果的な支援を実施することが期待される.

 

購入型クラウドファンディングの役割に関する地域金融機関の認識と実施体制
 

保田 隆明(神戸大学)
 
論文要旨▼本研究では、購入型クラウドファンディング(CF)の地域金融における潜在的な役割と、それをきっかけとする地域活性化の可能性について検討するために、全国の地域金融機関に対してのアンケート調査を実施した。結果、購入型CFは、地域金融での融資前段階のリスク性資金および融資時のリスクシェアリングの機能を有していること、CF実施企業の経営スキルや力量の向上と地方創生に寄与すると地域金融機関が認識していることが分かった。ただし、一部地域金融機関は購入型CFを潜在的な競合とみなしており、それが購入型CFへの消極的関与につながっている可能性もある。今後にむけては、購入型CFを通じた地方創生事例の積み上げと共有が重要となる。

 

逆参勤交代による都市人材の地方循環の研究

-リモートワークによる関係人口・地方創生-

松田智生(三菱総合研究所)
 
論文要旨▼近年ベンチャー企業だけでなく大企業にもリモートワークが普及しつつあり、自宅以外に地方でのリモートワークも注目されている。また関係人口という地域との関わりを求める層が地方創生で重視されている。本研究では都市の企業人材の地方循環、つまりリモートワークによる関係人口化と地方創生への関与を「逆参勤交代」と定義し、その目的に応じて5つのタイプを示した。また市町村での実証実験と企業の経営幹部へのアンケートから、上記のタイプへの期待と課題を明らかにした。逆参勤交代による都市人材の地方循環には多くの関心があるが、人事制度や費用対効果での課題があることが明確になった。実現には官民連携の制度設計が必要である。

 

地域コミュニティと大学の連携による都市農村交流活動の相互作用:中山間地域を

対象として

保永 展利

島根大学学術研究院農生命科学系

論文要旨▼本研究の目的は、地域コミュニティと大学の連携による都市農村交流活動が中山間地域の集落に及ぼす影響を定性的に明らかにすることである。飯南町S集落と大学の連携による継続的な実践活動を通じて、集落に波及した要素について考察を行った結果、次の点が明らかになった。第一に、当初は、役場が大学生の移動などのサポートを行っていたが、大学生との交流の継続によって、徐々にインフォーマルな活動を含む住民の主体的な活動に変化していった。 第二に、集落から小学校区などの広域的地域に波及しており、集落と大学との連携を通じた集落間の面的な広がりの存在を確認することができた。関係人口が多面的に活動し、活動情報を共有することによって他の集落へ知識が伝播している。Iターン者や都市農村交流の関係人口に対する中山間地域住民の許容性や近隣の集落間での情報共有とその活用が、都市農村交流活動の広域的な波及を高める上で重要な役割を果たすと考えられる。

 
事例報告

所沢市所沢地区における医療・介護・地域の連携を目指す「ささえあい塾」の取り組み

 

―パネルディスカッション「かかりつけ医と病院のかかり方」の事例― 

 

岩垣 穂大(日本女子大学)
 
論文要旨▼医療・介護が必要な状態になっても,住み慣れた地域で自分らしい生活を継続しながら人生の最後がむかえられる地域を目指し,「とこ地区ささえあいを考える会」の活動を展開してきた.本稿では医療・介護職と地域づくりの関係者が地域住民との顔の見える関係を構築するために開催した「ささえあい塾」について報告する.パネルディスカッションでは,かかりつけ医を持つことの重要性や病院との付き合い方,レスパイト入院を含む介護の相談,大学病院の地域医療における役割などについて話し合いが行われた.今後も医療・介護に関わる専門職が地域に出ていき,地域住民の不安や悩みに寄り添う取り組みを続け,安全安心で住み良い地域づくりを目指していく.

 

千葉県における民間主導のサイクルツーリズムの可能性について

大久保利宏(公益財団法人ちば国際コンベンションビューロー)
 
論文要旨▼近年、サイクルツーリズムで地域活性化を図る動きが全国的なブームになっている。太平洋岸自転車道(註1)の整備や電動アシスト車(註2)の普及が拍車をかけている。サイクリストは走行距離を確保し、安全で自然豊かなコースや魅力ある休息所を望んでいる。このため、行政の縦割り抑制や、市町村、都道府県の連携、地域資源の共有などが求められている。千葉県内には地域活性化を目指した民間主導のサイクルツーリズム団体が誕生し、自治体間連携や官民連携を促進しながら活動を展開している。こうした動きが、地域住民の変容をもたらし、様々な連携が実現しつつある中で、地域活性化に向けた大きな可能性を有しているものと考えている。

 

北海道における農産物ブランディング戦略:ゆめぴりかの事例

長村 知幸(酪農学園大学)
 
論文要旨▼本研究では「ゆめぴりかが成功した要因は何か」を明らかにする。ゆめぴりかの誕生から現在に至るまでのストーリーを整理した上で考察する。本研究の結論としては、ゆめぴりかのブランディングは、生産者ネットワークの形成および道外の認知度が向上したため、成功したことが明らかになった。本研究の限界としては、ゆめぴりかのブランディング戦略に焦点を当てていたため、他のブランド米との比較が詳しく研究できなかったことである。今後の研究では、特Aを連続取得しているブランド米の比較分析について現地調査を踏まえて行い、より精度の高い質的研究を行っていきたいと考えている。

 

自治体におけるSDGsの取り組みについて

 

―北海道下川町および石川県白山市を事例として―

 

小野英一(東北公益文科大学)
 
論文要旨▼持続可能な世界を実現するための17のゴールおよび169のターゲットから構成されるSDGs(Sustainable Development Goals)が2015年9月の国連サミットで採択された。日本でも2016年5月に持続可能な開発目標(SDGs)推進本部が内閣に設置され、様々なSDGsの取り組みが展開されてきている。こうした中、自治体においてもSDGsの推進が求められ、各自治体で様々な取り組みが行われてきている状況にある。本稿では自治体におけるSDG推進について整理したうえで、SDGsの取り組みを先進的に行ってきている北海道下川町および石川県白山市の事例について事例報告を行う。

 

新規就農におけるファーマーズマーケット中心の経営は成り立つのか

 

~茨城県におけるクリ生産農家の事例から~

 

菊地 章雄(株式会社青春畑きくち農園)
 
論文要旨▼ファーマーズマーケットは主に都市においてイベント的におこなわれる農業者が消費者に野菜を直接販売する機会である。新しい販売チャンネルとして、新規就農者を中心に出店が相次いでいる。しかし、ファーマーズマーケットの関係者からは、新規出店者の売上が下降傾向にあるなどの理由から、ファーマーズマーケットの時代は終わったとの声もある。今回、新規就農時に筆者がファーマーズマーケットに出店した売上データから、ファーマーズマーケット中心の経営について考察した。ファーマーズマーケット中心に経営が成立する可能性が示されたが、季節ごとの売上の変動の大きさが課題となった。

 

観光をより魅力的にする、「地域観光ガイドプラットフォーム」の構築に向けた活動

木村 剛徳(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 修士課程)
 
論文要旨▼本稿は、鶴岡市をフィールドとし、観光に対する仕組みづくりに向けた活動を行った事例報告である。「なぜ観光者は地域観光ガイドを利用しないのか」をテーマに観光案内所での実践等のフィールド活動を行った結果、観光者にその存在が知られていないのではないかと仮説を持った。それらを明らかにするために地域観光ガイドに関するアンケートを実施した。その結果、70%近くの人がその存在を知らなかったこと、地域観光ガイドの運営実態と観光者のニーズに乖離があることが判明したため、地域観光ガイドを手軽に手配できるプラットフォームの構築を提案する。データ構造および処理について示すとともに、今後は仕組み化に向けた活動を実施する。

 

「子ども食堂」の諸課題と今後の展望

佐藤由美子(中国短期大学)
 
論文要旨▼「子ども食堂」は、社会構造の変化に伴い、貧富の格差による食事の困窮や、共働き家庭の増加により子どもが食事を一人で食べる所謂孤食等への対策として、子どもへの食事の提供からスタートし、子どもの居場所づくりへと変容してきた。本研究では、「子ども食堂数と人口」、また「子ども食堂数と世帯所得」が相関関係にあるという仮説をアンケート調査により実証することを目的とする。分析の結果、すべてにおいて仮説(相関の優位性)が実証された。
 

千葉市における営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)による地域農業活性化の

実践事例

馬上 丈司(千葉エコ・エネルギー株式会社)
 
論文要旨▼営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)による、都市近郊農村における農業振興や再生可能エネルギー導入拡大を目指して、筆者は千葉県千葉市においてエネルギー事業と農業を一体で実施する取り組みを進めてきた。営農型太陽光発電は農地において農業生産を継続しながら再生可能エネルギー供給を行うことができ、再生可能エネルギーの導入ポテンシャルを大きく広げている。2019年9月の台風15号による千葉県を中心とした大規模停電では、特に農山漁村における非常時のインフラの脆弱性が明らかとなり、それを補う手段として自給自足の電源である太陽光発電の有用性も再確認された。営農型太陽光発電を活用した地域農業活性化の実践事例として、EVモビリティも交えた取り組みなども紹介する。
 
   


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地域活性学会 事務局(寺尾・堀本)
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社会マネジメントシステム研究センター内
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学会事務局新代表メールアドレス:info@chiiki-kassei.com

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