地域活性学会 The Japan Association of Regional Development and Vitalization

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|研究論文集「地域活性研究」Vol.10(2019年3月発行)目次

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~ 目次 ~

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研究論文

中山間地域における集落間の広域的自治組織と住民参加意識

保永 展利(島根大学学術研究院農生命科学系)
論文要旨▼
本研究は近年、中山間地域において複数集落で形成されている自治区の住民自治活動に対する参加意識と定住性、住民 属性との関係を明らかにすることを目的とした。飯南町上赤名自治区を対象として、自治協議会会長、自治会長への聞き 取り調査、域学連携活動やそれに対するアンケート調査、自治振興協議会の活動等に関する住民アンケート調査を行い、 定性・定量分析を行った結果、次の点が明らかになった。①対象自治区では過去に3つの地域間交流活動に取り組んでき たが、そのうちの一つが継続的に行われている。この交流活動は各集落同士の交流、連携を目的に行われている面が強く、 住民参加が期待されている。②広域的自治組織への参加意識の形成は、定住性因子に依存していることが確認された。ま た、年代、居住年数、自治組織の役員経験といった個人属性や集落特性も関係している。③より広い協働性は自治振興の 寛容性(自治活動への地区外人材の受け入れ)に正に影響している。域学連携に関しても大学生の企画参加を求めている。 以上の結果は、中山間地域の集落が広域的な住民自治活動を展開していくためには、住民が自治を担う人材を広く柔軟に 捉えていくことが重要であることを示唆している


ふるさと納税にふるさとへの思いはあるか
- 利用者の意識調査による検証 -

岩永 洋平(法政大学地域研究センター)
論文要旨▼
ふるさと納税制度について、制度設計者が特に重視する「ふるさと意識」の発現機会の提供、喚起の意義について 調査によって検証した。制度の利用動機は利得目的の経済合理性を基調としており、ほぼ利得目的のみで利用してい る層と、それに準じる層と合わせて利用者の過半を占めていた。残り四割強には、地域・地方を支援したい動機があ り、また同時に税の使途を自分で決めたい自己決定権の行使への志向があった。制度の利用動機・評価と意識喚起効 果についての共分散構造分析では、控除・返礼品を契機としてふるさと意識が喚起される影響関係は認められなかっ た。これらから当該制度のふるさと意識に関する政策目的は、十分には達せられていないと捉えられた。


ふるさと納税をきっかけとした地域金融機関の機能強化の可能性 :地域金融機関の融資状況と地域での産官金連携の可能性

保田 隆明・久保 雄一郎(神戸大学)
論文要旨▼
本稿の目的は、ふるさと納税をきっかけとする地域事業者の事業ニーズを、地域金融機関が自身の機能強化の事業機会とし て認識しているか、またコンサルティングサービスや融資の提供に繋がっているかを全国の地域金融機関へのアンケート調 査で明らかにした。結果は、地域金融機関は、ふるさと納税を通じた新商品開発意欲やデザイン力の向上などによる地域事 業者の活性化や育成効果は認識しているものの、コンサルティング機能や新規・追加融資の提供には至っていない。一方、 地域事業者からは融資に関する相談も融資以外の相談も一定数が地域金融機関に持ちこまれており、地域金融機関の積極的 な対応と活用が求められる。


修学旅行生の地域づくりへの関心を高めるスタディツアーの効果分析

ホー バック・原 辰徳(東京大学)
論文要旨▼
人口減少と高齢化によって、地方部では地域づくりの担い手が不足している。若年層の地域づくりの担い手を増やす 手段として、本研究は修学旅行生を対象としたスタディツアーに着目する。質問紙調査を実施し、332 名の有効回答を得た。 共分散構造分析の結果から、スタディツアーを通じて地域課題に関する知識を獲得することにより、修学旅行生は地域づく りへの関心を高めることを明らかにした。さらに、この効果はスタディツアーにおける共創的な学習から自己効力感を高め ることによって促進される。本研究はスタディツアーの有用性を示すことで、学ぶ観光による若年層の地域づくりへの関心 向上に関する新たな知見を加え、地域研究の発展に寄与する。


研究ノート

廃校の潜在的地域的価値を活かした地域活性化に関する研究
- 都市交流施設・道の駅保田小学校を事例として -

豊島 まゆみ(東京農業大学大学院生物産業学研究科)
黒瀧秀久(東京農業大学)
論文要旨▼
少子化に伴い毎年500 校の廃校が発生し、設置者である多くの自治体が廃校問題に直面している。特に廃校の約7割を占める小学校は、安全で景観がよく児童が通学しやすい場所に校舎や屋内外施設が確保されており、廃校となっても新たな地域活性化拠点として活用できる可能性がある。自治体の立場から、検討プロセスや地域活性化効果を明らかにすることが望まれている。本研究では、潜在的地域的価値に加え立地優位性を活かし、都市農村交流施設として再整備された千葉県鋸南町の都市交流施設・道の駅保田小学校を事例として、検討プロセスや地域活性効果を分析した。その結果、廃校を地域活性化プラットフォームとして活用できる可能性が示唆された。


泉質の印象評価による地域価値創成に関する考察

高澤 由美・松田 圭悟・兒玉 直樹(山形大学)
論文要旨▼
山形県米沢市にある小野川温泉は泉質の良さが評判になっている(いわゆるロコミ)。そこで、この泉質を科学的に把握し温 泉地の誘客に結びつけるために、泉質の成分分析を月次で行うとともに、入浴客に泉質に関する印象評価を実施した。成分 分析と印象評価の総合的な解析から温泉地の新たな価値を創成することを目的とした。解析の結果、印象評価によるイメー ジや因子分析で抽出されたパラメータは、温泉成分に期待される効能と関連していることが明らかとなった。本研究から、 「泉質の良さを実感できる温泉」を地域の価値に結びつけることが可能となり、今後、ターゲットを絞り込み、集客戦略に活 かすための基盤となると推察される。


地域活性化における映画資料館の役割

矢澤利弘(県立広島大学)
論文要旨▼
本研究は、映画資料館による地域活性化のメカニズムを明らかにすることを目的としている。調査結果から、映画資料館 による地域活性化を図るためには、常設の展示のみならず、映画上映や積極的な企画展の開催などが必要であり、地域住民、 旅行者、コンテンツの提供者、映画資料館の運営主体の四者間に良好な関係性を構築することが必要であることを示した。 その結果から、映画資料館は館内での資料展示だけで完結させるのではなく、映画資料と地域の観光資源を結び付けるため のハブ的な役割を果たすことが重要であり、コンテンツ・ツーリズムを呼び起こすための装置となることなどが期待される。


みかんの耕作放棄地を活用したみかん・レモン生産の事業性検証

都丸 孝之・林 美香子・当麻 哲哉
(慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科)
論文要旨▼
本研究では、神奈川県小田原市を対象にみかんの耕作放棄地を整備し、みかん、レモンを植樹した際の柑橘生産の事業採 算性をファイナンスの理論である正味現在価値法(NPV: Net Present Value)を用いて検証した。本研究の新たなアプロー チとして、みかんの耕作放棄地の整備費用および整備した農地に植樹する苗木の費用を初期投資と見なすこと、NPV に用い る割引率を天候不順や鳥獣被害などのリスクに応じて割引くこと、収穫量は柑橘の特性である隔年結果を考慮することで、 耕作放棄地の整備費用および植樹する苗木の回収期間を確認した。その結果、みかんは投資回収するまでに 21 年~25 年の 長い年月がかかるが、レモンは 9 年と比較的短い期間で回収することができ耕作放棄地を活用したレモン生産の有効性を示した。


放棄地再生に向けた獣害対策を伴うメダラの移植栽培法に関する研究

岡山 大成 ・西村 訓弘(三重大学大学院地域イノベーション学研究科)
論文要旨▼
地域における様々な課題に対する取り組み方は多岐に亘るが、本研究は課題抽出からの取り組みとして実験を行っ た。地域課題の抽出、選定、さらに解決案の創出までのプロセスを示し、その後の計画を含めて模索することとした。抽 出・選定された地域共通の課題として、放棄地や獣害の問題は位置しており、個人や家庭での対処が難しいものがある。本 研究では、地域課題に対処すべく、実験的に獣害対策を伴うメダラの移植栽培を考え、野生のタラノ木の活用も提案する。


行政主導のアニメ・コンテンツツーリズムによる地域活性化マーケティング-埼玉県の事例から

柴田 仁夫(埼玉学園大学)
論文要旨▼
行政が主導するアニメ・コンテンツツーリズムの成功事例の 1 つが埼玉県である。埼玉県のアニメを活用した観光事業は, マーケティングの視点からは,アニメファンの中でも聖地巡礼をするようなヘビーなファンにターゲットを絞り混み,尖っ たイベントである「アニ玉祭」によって全国から集めた彼らに,県内に点在する聖地を繋ぐ「聖地ラリー」を効果的にプロ モーションすることで,彼らに複数の聖地巡礼を行うように仕向けている。ヘビーなファンが聖地で至福の体験を得て地域 に定住するようなコアなファンに変化することで,地域が活性化されることが分かった。


地域分散型高等教育の可能性の検討とフランス修業学習からの示唆

西之園 晴夫(NPO 学習開発研究所)
論文要旨▼
地域活性問題のように確定的な解決方法が明確でなく、試行錯誤を繰り返しながら課題を経験的に解決しなけれ ばならない状況での研究方法を論じている。主観と客観とを軸の両端に位置付けて解釈学を軸上の範囲で移動すること のできる組織シンボリズムの考え方が有望であり、さらに経験の構築を解釈的学びで説明することの試みがある。この考 え方をフランスの修業学習の事例に適用して解釈することを試みた。その視点から職業資格の整備、修業生研修センタ ー、修業学習契約、修業学習指導者、修業生の待遇、修業学習の成果に区分して解釈して、わが国で「地域分散型無償の 高等教育」を推進するときの視座を提案している。


近畿圏3地域における地産地消をコンセプトとしたバルイベントの比較

石原 肇(大阪産業大学)
論文要旨▼
人口減少に伴う都市の縮退は、今後の都市を維持していく上で喫緊の課題となっており、都市農地の保全と中心市街 地の活性化は大きな課題である。中心市街地の活性化策の1つとしてバルイベントが注目されている。大阪府の堺市や八尾 市、兵庫県の三田市において、農産物の地産地消をコンセプトとしたバルイベントが実施されている。本稿は、これらの3 地域について、地産地消の取組みについて比較を行い、他の地域で取組みを行う際の参考に資することを目的とする。調査 の結果、運営方法には差異がみられたが、いずれのバルイベントも継続開催され、成功事例と考えられた。


地域人材育成による地域振興 - あきたかたコンソ事業 -

西川 洋行(県立広島大学)
論文要旨▼
地方創生が本格化する以前より、広島県安芸高田市では地域振興の取り組みを進めてきた。独自の企業調査の結果に 基づく「あきたかたコンソ」事業は、企業間や地域内での交流を図る情報交換会&交流会、社員向け合同研修、経営者向け のマネジメント研修、そして企業間での社員の短期移動により人員の融通を図る企業間ローテーションの4事業から構成さ れる。企業の労働力確保を主目的としていた活動は、次第に人材育成の重要性が明らかとなるにつれ、社員のOJE/OJT や経 営者の研鑽の場へと発展を遂げた。「地域の人事部」を標榜する「あきたかたコンソ」事業は、人材の教育・訓練から移動・ 交流等までを含む地域社会全体を対象とした活動へと拡大し、地域の人材育成を総合的に支援する存在へと変貌しつつある。


「アニメ聖地化」の過程におけるファンの地域活動への関与
- 静岡県沼津市の事例から -

谷 村要(大手前大学メディア・芸術学部)
論文要旨▼
本稿は、2016 年以降、アニメコンテンツを活用した地域活性化事業を進めてきた静岡県沼津市を事例として「アニメ聖 地化」が進む過程におけるファンの地域活動への関与を取り上げる。沼津市をはじめとした地域側がまだ「アニメ聖地」を 活用した事業を展開する以前より、一部のファンはさまざまな地域活動への関与を試みていたが、そのことがファンや地域 の社会関係資本の形成につながり、さらなる地域への関与に結びつくことになった。


東京オリンピック・パラリンピックの「ホストタウン」の活動促進に向けた仕組み作り

松橋 崇史(拓殖大学)
論文要旨▼
本研究は、2020 年東京オリンピック・パラリンピック(以下、東京大会)の「ホストタウン」として登録された地方公 共団体(以下、自治体)を分析対象に、ホストタウン事業の推進において自治体内の組織体制の構築と地域の民間事業者等 との連携が、ホストタウン事業推進に与えうる影響を分析することを目的とする。ホストタウンに登録する自治体に対する アンケート調査結果の分析から、自治体の複数部署が連携してホストタウン事業に取り組むこと、人口の少ない自治体では それに加えて、地域内の民間事業者等と連携して活動に取り組むことがホストタウン事業を持続的に盛り上げるために必要 であることが示された。


地域と大学が連携した地域づくり
- 香川大学直島地域活性化プロジェクトを事例として -

古川 尚幸(香川大学経済学部)
論文要旨▼
当研究室では、大学生の社会人基礎力の向上と地域課題の解決を目的として、香川県内において、様々なプロジェ クトを展開している。本研究は、地域課題の解決に向けたアクション・リサーチの一環として、大学生が主体となった地 域活性化のためのプロジェクトを遂行するなかで、そのプロジェクトの有効性を示すとともに、そのプロジェクトが有効 に機能するための条件を、長年の活動プロセスを通じて見出そうとしたものである。ここでは、そのひとつの事例として、 香川大学直島地域活性化プロジェクト(以下、直島プロジェクトと略する)を取り上げ、その活動内容について詳細を説 明したうえで、活動を通じて明らかとなった条件について述べる。


事例報告

プロスポーツチームと自治体の公民連携の一側面
- Jリーグクラブと自治体間の協定の事例 -

菅 文彦(大阪成蹊大学)
論文要旨▼
近年、自治体と企業や大学間での公民連携の事例が増加する中、連携対象としてスポーツ関係機関・団体にも期待が寄せ られている。本論ではJリーグクラブと自治体間の協定事例の存在に着目し、その概要や内容を明らかにすることを目的と した。協定事例は36 件が抽出され、協定内容は「スポーツ振興」が最も多く、「観光」「健康」「教育」が続く結果となり、J リーグクラブと自治体間の協定にみられる特徴が浮き彫りになった。今後の研究上の課題には、①協定の実施主体の解明、 ②Jクラブと自治体以外のステークホルダーとの関係性を視野に含めた分析視点、③協定に基づく事業の評価手法の確立が 挙げられる。


東日本大震災後の復興と観光
―復興ツーリズムの事例を中心に―

小野 英一(東北公益文科大学)
論文要旨▼
観光には地域全体への様々な効果・影響があり、東日本大震災後の復興においても大きな役割が期待されている。そして 「復興」と「観光」の結合である復興ツーリズムに注目が集まっている。本稿は、東北地域の被沿岸自治体における東日 本大限災後の観光について概観したうえで、復興ツーリズムの取り組みについて、いわて復興ツーリズム推進協議会および ふくしま観光復興支援センターの事例を取り上げ、事例報告を行う。


地域再生マネージャーグループによる連携活動事例とその効果

難波江 任(愛媛大学地域再生マネージャー・アカデミー)
論文要旨▼
我が国では、近年、自治体や教育機関が主体となって、地域再生を進める人材の掘り起こしや人材育成の取り組みが活発 になってきている。そのような状況下、愛媛大学が実施した社会人学び直しの講座修了者が集まり新たな組織を形成し、そ の組織を核として学び直しの継続や会員間の情報交換、事業連携、新事業構築、新商品開発など、会員相互協力による地域 活性化の取り組みが進められている。本論では、この活動事例を検証・分析することで、当該活動の効果と課題および、今 後の地域再生活動の課題解決や活動促進のための政策提言につなげることを目的とする。


日本の農村社会における地域社会サービス事業の実施および地域活性化の可能性
- メキシコにおける地域社会サービス事業の視点から -

安部 雅人(東北大学)
論文要旨▼
本研究は、メキシコ国内において国公立大学における教育プログラムとして法制化されて長年実施されている「地域社会 サービス事業」に着目している。そして、実際にメキシコの国立工科大学(IPN: National Polytechnic Institute)による「地 域社会サービス事業」の各種プログラムについての現地調査をもとに考察し、その特質を明らかにしている。
その上で、日本の農村社会の「過疎化問題」に対処するためにメキシコにて「地域社会サービス事業」の一環として実施 されている「ソーシャルワーク教育」を教育カリキュラムとして採り入れて「日本版地域社会サービス事業」として実践し た場合、メキシコと同様に日本の農村社会における公共福祉サービスの向上や地域活性化等と共に若者の地域定着・還流に も貢献できることを示唆している


「おやじの会」の実践コミュニティ的特徴

小出 秀雄(西南学院大学経済学部)
論文要旨▼
小中学校などの保護者・OB が自主的に集い活動する、いわゆる「おやじの会」は、学校のPTA(父母教師会)や高齢化が 進む地域団体ができない活動を、独自にあるいは協働で行っている。本報告では、福岡市立百道(ももち)小学校のおやじ の会である「松葉の会」と同小PTAとの協働関係を事例として、実践コミュニティの枠組に基づき、おやじの会の特徴を明 らかにする。特に、実践コミュニティのキー概念の一つである多重成員性に着目し、おやじの会と本業(職場)、あるいはお やじの会と他の地域団体と本業との関係性についてふれる。


再生古民家が人を惹き付ける理由

菊森 智絵(関西大学大学院ガバナンス研究科)
論文要旨▼
近代化が私たちの生活を便利にし、豊かにする時代において、近代化によって取り壊される日本の伝統的な建築物 である古民家への関心も高まっている。古民家をリノベーションし、現代的な味付けを施された再生古民家は芸術的な要 素や店主などの感性が表れた要素を加えられることによって、私たち日本人の心のどこかに訴えかける魅力がある。その 魅力は「ほっこり」という言葉で表現されるのではないか。


週3日労働普及による地域活性化

山中 鹿次(NPO法人近畿地域活性ネットワーク)


鬼ごっこ協会公認指導員・審判員の地域活性化への取組の事例報告
~多様なステークホルダーとの協働によるイノベーション~

平峯 佑志(一般社団法人鬼ごっこ協会)


よりインクルーシブなコミュニティを目指して:アールブリュット(アウトサイダーアート)の可能性を探る
- 平塚市、横浜市、東京都中野区のまちなか展示事例から -

楠田 弥恵(横浜市立大学都市社会文化研究科)


世界が日本を訪れる『和文化ナイトタイムエコノミー』の多様性と地域活性の試み

西田 尚司(一般社団法人癒愛道)


航空交通を活用した産学官民連携による地方創生への取り組み
- 徳島阿波おどり空港における事例 -

服部 大輔(島根大学 地域未来協創本部)


マチオコシ実施者から見た主体形成について

坂田 真一郎(一般社団法人 WIB協会)
論文要旨▼
行政が仕掛けたマチオコシを体験した筆者から見た、マチオコシの主体形成などの体験を通じて実状を詳らかにし、 醍醐らが研究した主体形成10 ステップモデル提案が実施者に適当な提案なのか否かを検証した。その上で今後の 課題を4つほど示した。また、古民家再生手法や商店街の活性化、災害対策等の実施結果を報告する。


九州北部豪雨被災地に楽曲・映像制作を通じて向き合う
-「いっちゃん好きばい」制作の記録

神本 秀爾(久留米大学)
論文要旨▼
本報告では、2017 年7月の九州北部豪雨災害を受けておこなった一連の楽曲・映像制作の過程を報告することを目的とし ている。この豪雨では、筆者の勤務する久留米大学が位置する筑後地方の朝倉市・朝倉郡杷木町も大きな被害にあった。こ のことから、筆者は前年度から学科でおこなっていた、楽曲・映像制作プロジェクトの 2017 年度のテーマに朝倉を選んだ。 制作のコンセプトは、被災はきっかけではあるが、いずれ朝倉を歌った楽曲のひとつとして浸透して欲しいということであ る。本プロジェクトが示唆するのは、地域のファンをつくることもまた、地域活性化につながる大学の地域貢献の重要な役 目であるということである。


韓国型地域おこし協力隊の展望と課

金 智薫(大邱慶北研究院)
論文要旨▼
大都市で失業に残留中である青年層(15~39 歳)を地方に呼び入れ、ヨソモノの視点から地域資源を活用した商品を開発す るなど、地域に活力を吹き込む政策が慶尚北道の「都市青年田舎派遣制」である。 都市青年田舎派遣制は 2017 年7 月から 始まった政策である。 分かりやすく言うと、韓国型地域おこし協力隊である。慶尚北道において、地域外の人材を積極的に 受け入れ、地域で創業(起業)活動を行ってもらい、その定住・定着を図る。その際受けることができる援助は、2年間の生 活費や創業に関する活動費で一人当たり 300 万円を支給される。金銭的な支援、自治体の積極的な広報などは強点である。 しかし、地域情報取集の悩み、ロードマップの不在は弱点である。


コミュニティ主導による気候変動への適応策
~長野県高森町における市田柿の事例

中村 洋(地球・人間環境フォーラム)
白井 信雄(山陽学園大学地域マネジメント学部)
田中 充(法政大学社会学部)
論文要旨▼
気候変動の影響を受ける長野県南信州の地域ブランド「市田柿」の気候変動への適応策を、コミュニティ主導により検討 した。その結果、「1 柿の栽培・加工技術の改善」、「2 生産・経営形態の改善」、「3 産地・地域づくり」に分類されるアイ ディアが出された。従来の適応策の検討は、単体の対策技術が中心であるが、本検討では生産・経営形態の改善や、産地・ 地域づくりに踏み込んだ適応策を具体化できた。本検討は、地域の適応能力を高める適応策の検討プロセスの実践例である とともに、経営や地域の課題と適応策の同時解決という、適応策の新たな枠組みを提供するものとして意義を持つ。


地域資源を活用したプログラミング教育の実践と報告
- 商店街を学びの場とした「まちあるきプログラミング」 -

菊地 章雄(茨城大学 社会連携センター)
論文要旨▼
2020 年度より小学校でのプログラミング教育が必修化される。しかし教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数 は6.5 台とほぼ横ばいで、ICT 機器の整備は進んでいない。本研究ではパソコンを使わないアンプラグドのプログラミング 教育として茨城県笠間市および石岡市で実施された「まちあるきプログラミング」を取り上げる。「まちあるきプログラミ ング」は、自分たちの町をより深く知るとともに、町の仕組みを分解し、自分たちの生活との関わり合いに気付くことが出 来る。アンプラグドのプログラミング教育は注目されているも、指導方法が確立されていないため、本報告は数少ないアン プラグドのプログラミング教育の報告であろう。


イノベーションおよび高付加価値化を志向した地域中小企業と大学の共同研究開発

内山 大史・工藤 裕介(弘前大学)
論文要旨▼
人口減少は我が国が抱える大きな課題であり、地域活性に取り組むうえで、重大な阻害要因となっている。政府が主導す る地方創生は、戦略に基づく多様な観点からの取組みがなされている。地方に対しては、その地域資源を活用しながら地域 特有の課題に主体的に取り組むことを要請しており、国立大学法人においては、機能別分化の考えに基づき、3類型を示し た結果、地方大学の多くは「地域貢献」型を自ら選択した。大学は地方創生に主体的に関わる地域資源であるという認識は 既に一般的となっている。本報告では、国の政策を概観したうえで、特に「ひと」と「しごと」の循環を意識した、地方国 立大学法人の取り組み事例について述べる。


花の領域における農業経営体の成長プロセスに関する一考察
- 愛知県渥美地域を事例に -

松下 昌史(法政大学地域研究センター)
論文要旨▼
花は、国際競争力の高い農業品目だと言われている。しかしながら、国内の花の生産は他の農業品目同様に低迷して いる。一方で、個別の経営体に着目するならば、成長・発展を遂げている経営体も存在する。そこで、本報告では、花の領域において成功事例とされる複数事例の分析を通じて、その成長・発展のための条件を導くことを目的とする。


大学における家具・家電等リユース活動を合理化してみた(社会実験)
- 筑波大学「3E EcoCycle(エコサイクル)」の軌跡 -

山本 泰弘(青年シンクタンクRHO)
論文要旨▼
大学周辺に下宿する学生等には、家具・家電等のリユース(転出者が手放し、転入者が取得する)のニーズがある。それ に対して、学生団体等によるリユース活動(転出者から品物を引き取り、転入者に提供する)が行われているが、労働集約 的で非効率な点が問題である。
そこで筆者らは、費用対効果を追求したリユース活動の仕組みを考案し、実証実験を行った。実験においては、①集積拠 点を設けユーザーに取扱品を運搬させる、②学生サークルとの取引により労働力を調達、③一般のブログサービスを活用し た情報発信・応募受付などの工夫により合理化を実現した。
この知見は、循環型社会の推進および学生の就学費負担の抑制に資すると期待される。


異文化交流ワークショップ「秩父音頭から Chichibu Ondo へ」活動報告

岩垣穂大(早稲田大学人間総合研究センター)
鈴木大介(早稲田大学人間科学部)
齋藤 篤(早稲田大学人間科学学術院)
Kadikova Samal(アル ・ ファラビカザフ国立大学)
Amantay Zhanar(アル ・ ファラビカザフ国立大学)
Yem Natalya(アル ・ファラビカザフ国立大学)
扇原 淳(早稲田大学人間科学学術院)
論文要旨▼
埼玉県皆野町は平成28 年より「皆野町まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し,秩父音頭まつりを通したまちづくりに取り組んでいる.今回,地元の中学校や教育関係機関と連携し,秩父音頭を含む郷土の歴史・文化について深く学び,留学生や大学生との協働によって,新しい価値を創造する異文化交流ワークショップを開催した.各参加者がそれぞれの立場で秩父音頭の魅力を再発見し,皆野町の歴史・文化を分かりやすく,かつ魅力的に発信するため,秩父音頭の新しい歌詞や囃子言葉を提案した.今後も,地域や教育行政と連携したまちづくりの取り組みを継続していく.


地域課題解決を企図した地域ゼミ「西京銀行PBI」の実践と教育効果

中嶋 克成(徳山大学)
論文要旨▼
本学(徳山大学)は、"地域に貢献できる人材の育成"をめざして、地域とともに地域問題の解決に取り組むべく、研 究体制の充実と教育の改革を進めているところである。そこで学生が主体となって地域の身近な問題を見つけ、その解決に 向けて調査・分析から解決策の提示までを行う(課題解決型学習)、「地域ゼミ」を2年次に必修科目とした。その地域ゼミ テーマの1つに、㈱西京銀行・地域連携部の提供する「西京銀行課題解決型インターンシップ」がある。この中で山口の課 題の調査・旅行企画・発表を行うことになっている。コモンルーブリックを用いこの学びを評価したところ、本PBI は学生 の「課題対応力」に対して良好な教育効果を持つことが推測された。



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地域活性学会 事務局(寺尾・堀本)
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社会マネジメントシステム研究センター内
TEL:088-821-7211

学会事務局新代表メールアドレス:info@chiiki-kassei.com

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