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|研究論文集「地域活性研究」Vol.22(2025年3月発行)目次

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~ 目次 ~

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学術研究論文

 

「高齢者の居場所」に関する研究―高松市における継続支援についてー

 

久保佳美・中村正伸・沼田秀穂  (香川大学大学院地域マネジメント研究科)

 

論文要旨▼
 
本研究では、香川県高松市の「通いの場」である「高齢者の居場所」の継続的運営を可能にする要因の抽出のため に、運営継続中と運営停止の両者を対象に調査分析を行った。次に千葉県市川市の「通いの場」と比較検討した。そ の結果、継続には①運営者の負担軽減、②登録条件の緩和、③登録メリットの拡充、④情報の統合発信、⑤情報交換 の場の点の必要性が明らかになったので、支援策の提言を高松市に行った。また「高齢者の居場所」に参加した% の高齢者に、性別、年齢、参加期間に関わらず、生活意欲の向上がみられた。
 

 

 

スタートアップ・エコシステムにおける地方自治体の役割 

髙島克史・大倉邦夫(弘前大学) 
 
 
論文要旨▼
 
スタートアップ・エコシステムは、強い関心を集めている。政策的側面から見れば、公的機関主導でスタートアッ プ・エコシステムを構築しようとする動きが広まっている。国主導によるスタートアップ・エコシステムが注目を集めてい る一方で、地方自治体が中心となってスタートアップ・エコシステムを構築する試みも観察される。本研究は、地方自治体 によるスタートアップ・エコシステム構築において、地方自治体が担う役割を明らかにする。事例考察を通じて、多様な主 体同士をつなげる場の設定、異質なつながりによるイノベーション創出を後押しするコネクターとしての役割、さらには社 会課題の解決とスタートアップを結びつける主体としての役割があることを示す。 
 

 

実務研究論文

 

川崎モデルによる支援が中小企業に与えた効果分析 ―利用企業に対するインタビュー調査より― 

 

                                                                                                          新井 稲二(産業能率大学)

論文要旨▼

地方自治体が主体となって実施する地域産業政策は支援の結果、対象となった中小企業においてどのような効果があ ったのかについて、調査・分析した調査・研究は少ない。そこで、川崎市の川崎モデルに焦点を当て、支援の発端から製品 化した結果、政策主体者と支援者の役割と支援のあり方、大企業側の協力体制、中小企業者側の評価と経営に対する考え方 を明らかにすることが本稿の目的である。 調査からは、支援に対する経営者側の評価として、単に売上や収益といった面のみならず、他の経営上の課題への対策と して評価していることが明らかとなった。政策評価は定量的な評価が注目されるが、定性的な評価についても地域産業政策 においては重要であろう。

 

災害から地域活力を守りぬくための「中小企業BCPの在り方」の探求

 

         今川 隆(名古屋市立大学経済学研究科)・鵜飼宏成(名古屋市立大学経済学研究科教授)

 
論文要旨▼

BCP 策定という形式的レベルを横軸に、経営力強化の認識レベルを縦軸にした二軸図を考案し、中小企業BCPの現状と 理想へのルートを、政策的にモデル化した。理想に導く知見として、「BCP 策定加速に寄与しうる今日的経営課題として 情報化課題と人材課題がある」「策定済み企業は、覚醒した可能性が高く、ニーズとしてファシリテーション支援、訓練 支援、セミナー支援を求める声が具体的かつ多数ある」「 BCP策定で経営力向上を認識できない中小企業が大半だが、認 識できた企業の共通特性としてBCP専門家の支援がある」といった新規性・独自性のある分析結果を提示した。

 

長期実践型インターンシップによる入社後の効果―参加学生に対する追跡アンケート調査 ―

 

                      今永典秀(名古屋産業大学)、南田修司(NPO法人G-net)

 
論文要旨▼

本研究の目的は、岐阜県の団体が主催する長期実践型インターンシップに学生時代に参加した社会人に対する追跡ア ンケート調査によって、入社後の効果を中心に長期実践型インターンシップの特徴を明らかにすることである。長期実践型 インターンシップ参加者に対する追跡調査によって、入社後の効果について検証した。長期実践型インターンシップを他人 に推奨したいと回答した人は、入社後に「社内での活躍」「 組織の人とのコミュニケーション」や「能力を活かした活躍」 や「企業理解の促進」などが期待されることが確認できた。また、長期実践型インターンシップでは、専属のコーディネー ターが学生と企業双方に伴走支援することで、学生にとっては負荷が高いが、経営者と働く実践経験や挑戦の機会が存在 し、成長や自信を持つことにつながることが確認できた。

 

地域文化とファッションの融合:牛首紬を用いたボディバッグデザインの有効性に関する研究 

                          

             呉 星辰(金沢星稜大学)村本 睦子(北陸先端科学技術大学院大学)                                        阿部 和美(ディーラボ白山)由田 徹(ディーラボ白山)             

                                                                                                            

論文要旨▼

本研究は、石川県白山市の地域資源である牛首紬の普及を目的に、着物以外の産出としてのボディバッグに着目し、 消費者の潜在ニーズの感性的な視点を探るためのデザインを行った。感性評価手法として写真評価共感法を用い、消費者の 曖昧な感覚を具体的なデザイン要素に変換することで、牛首紬の現代的な活用方法を模索した。分析の結果、バッグAとB は日常使いに適した実用的なデザインとして高評価を得たが、バッグCとDは視覚的な魅力や親しみやすさの面で改良の 余地があることが示された。これにより、地域資源として牛首紬を普及させるには、実用性と感性的な訴求力を兼ね備えた デザインが求められることがわかった。さらに、写真評価共感法は消費者ニーズの感性的な視点のデザイン意図を的確に捉 える上で有効な手法であり、地域文化とファッションの融合を図るような感性を重要とするデザインを今後も進めていく意 義を確認できた。 

 

●関係人口創出における「地域連繋型シェアハウス」の分析 〜 関係人口を創出するシェアハウスとその機能 3 〜 

                                  

                                    内田考生・林靖人(信州大学)

 

論文要旨▼

近年、関係人口を創出する取組が増加しているが、その形態は一般に「ファンベース」と「ビジネスベース」とに 大別される。本研究では、シェアハウスが関係人口創出における仕組みの一つになり得るとの仮説に基づき、地域と繋が るファンベースとビジネスベースとを組み合わせたハイブリッド型の民間事業モデルとして「地域連繋型シェアハウス」 を提案した。シェアハウスを取り巻く住民、主導者、地域の人々との関係性を3つの視点で調査を進めると、地域への問 題意識に基づく動機、コンセプト・方針の存在、メッセージング、質の高い関係人口の選定方法の存在、集客と創出のハ イブリッドの機能が重要であることが示唆された。 

 

●みかん畑の耕作放棄地を活用した高齢農家の収益性改善の提案 

 

                           王 嘉珍(城西国際大学)、都丸 孝之(法政大学)

 

論文要旨▼

近年、みかん生産者の高齢化が進み、みかん畑の耕作放棄地が増加している中、この耕作放棄地を有効活用 するための具体的な方策が求められている。本研究では、みかん畑の耕作放棄地を活用し、高齢農家でも生産 しやすい品種を選定することで、どの程度農家の収益性が改善するのか検証する。具体的には、みかん畑の耕 作放棄地の土壌に適し、収穫量が多く作業負担の少ない品種を選定することで高齢農家でも可能な農業経営に ついて提案する。検証の結果、剪定や農薬散布などの作業負担を軽減でき、収益性の高い柑橘として、レモン、 湘南ゴールド、うめ、キウイフルーツを組み合わせることで農家の収益が19%向上することが判明した。特に レモンは、みかんに比べて年間の作業負担が40%軽減でき、鳥獣被害がないことから、みかん畑の耕作放棄地 を活用し、レモンを生産することで農家はより大きな収益が見込まれる。 

 

●「日本クマノザクラの会」設立までの経緯に関する多角的検証とその分析

 

                    垣内 貴(日本クマノザクラの会),大西 昌子(株式会社油米),                      岡山 大成(三重大学大学院地域イノベーション学研究科)

 

論文要旨▼

クマノザクラが103年ぶりの桜の新種として認識されて以来、すでに8年以上の時が過ぎた。この間に、地元では実 に様々な取り組みがなされてきた。中でも、「日本クマノザクラの会」設立は1つの大きな契機であった。地域活性化に取り 組むに当たって、このような組織化の動きは、他地域においても非常に参考となる。そこで、新種発見以来の地元での取り 組み状況を振り返り、さらに組織としての「日本クマノザクラの会」の存在意義を確認する。クマノザクラの認知度向上や 会設立のようすを初期段階から見直し、組織化のメリット・デメリットも含め詳しく報告する。

 

●eサイクルモデルによる思考シミュレーション7事例と実例検証

 

             岡山 大成、大西 昌子、西村 訓弘(三重大学大学院地域イノベーション学研究科)

 

論文要旨▼

思考モデルや思考体系のような形のない物を証明する事は、非常に困難である。そのような場合には、できる限り実 例を挙げて、そのモデルの有効性を示すしか手立てがない。よって本研究では、試行錯誤型の思考モデルとして「eサイクル モデル」を取り上げ、過去事例を列挙して検討する。モデルによる思考パターンが、実際に目標達成のために作用したかを 確認する。7つの過去事例をモデルのマトリクスに当て嵌め表記し、思考シミュレーションを行う。「eサイクルモデル」を 中心に実例検証した後、U理論とプロセスモデル全体との比較を行う。 

 

●落語家の地域活性化活動に対するシビックプライドと創造的資質の関係 ー大阪・上方落語の専用劇場「天満天神繁昌亭」の継続的実践ー

 

                           竹内 宏文(所属:北陸先端科学技術大学院大学) 

 

論文要旨▼

本研究は、コンテンツ産業の専門家の地域活性化活動に対するシビックプライドと創造的資質の関係を明らかにすること を目的とした事例研究である。対象事例は、2006年開場の上方落語専用劇場「天満天神繁昌亭」である。この劇場は、設立 に向けた企画段階からコンテンツ産業の専門家(本稿では落語家、以降落語家とする)が参加しており、結果として、開場 後18年以上経た今も地域に社会的経済的に良い影響を与えている。この事実に対し、本研究では、繁昌亭を落語家と地域と のかかわりの結節点ととらえ、地域による繁昌亭への支援活動が、シビックプライドの醸成等を通じた落語家の地域への態 度に影響を与え、落語家の地域活性化活動に対する創造的能力の発揮につながったとする仮説を立て、アンケート調査を行 った。質問はシビックプライドと創造的資質の尺度を用いて作成し、上方落語協会の協力を得て、所属する落語家に実施し、 得られた結果をもとに共分散構造分析を行った。分析の結果、芸歴が長い落語家は創造的資質が高く、地域参画、忠誠的愛 郷心が創造的資質に正の影響をおよぼすことを明らかにした。 

学術研究ノート

 

農産物の単価および売上高の理論的最大化を実現するための販売メカニズムの解明 

 

岩佐大輝(株式会社GRA代表,武蔵野大学教授),那須清吾(高知工科大学教授)
 
論文要旨▼

近年、農業生産資材価格の高騰に農産物価格の上昇が追いつかず、日本の農家は極めて深刻な収益性の低 下に直面している。農産物価格の低迷については様々な要因があるが、品質が価格に十分に反映されていな いことが主要な要因の一つである。本研究では経営的成功に至る農業経営体と一般的な農家の比較研究を通 して、農産物価値の理論的最大化を図り、単価および売上の最大化を実現する販売メカニズムを解明した。 本研究では、品質や収量に関するデータを基盤にして分析を行い、販売戦略における最適な意思決定を導き 出すフレームワークを提供し、農産物の高付加価値化を体系的に支援する具体的な方法論を示している。

 

地域の持続可能性を探る:人口減少時代における「縮充型地域社会」の実証的アプローチ 

 

                       大久保 武(愛媛大学)、竹下 智(大阪経済大学)

 
論文要旨▼
 
本研究は、人口減少と高齢化が進行する中、人口の世代間バランスの改善が見られる地域を特定する定量的手法を提唱し ている。具体的には、愛媛県の旧70市町村を対象にコーホート変化率法を用いて分析を行い、世代間バランスが改善され つつある地域を特定した。また、旧内海村と旧大三島町の地域特性を評価し、持続可能な地域社会の形成に向けたアプロー チの具体化を図っている。更には「縮充型地域社会」の概念を提唱している。この手法と概念は未だ発展途上の段階にある が、今後の広範な地域における持続可能な地域づくりに向けた貢献が可能と考えられる。 
 

 

令和6年能登半島地震後における住民と看護学生の協働による 健康支援活動のプロセスとその影響 

 

                                                                  垣花 渉・中島 いまり・山崎 瑛仁(石川県立看護大学看護学部)

 
論文要旨▼
 
本研究の目的は、参加型研究によるコミュニティ・エンパワメントの構築が、令和6年能登半島地震で被災した高齢者 の健康に及ぼす影響を明らかにすることであった。住民と看護学生が協働して健康支援活動を構築するプロセスを、トラ イアンギュレーション法を用いて質的に分析した。併せて、健康支援活動に参加した高齢者の生活機能を量的に調べた。 健康支援活動は、看護学生が主体で始まったが、活動の成功をきっかけに住民が主体のものへ移行し始めた。健康支援活 動への参加は、高齢者の筋肉量、握力、および10m歩行速度を維持させた。参加型研究によるコミュニティ・エンパワメ ントの構築は、高齢者を始めとする住民の健康の維持に重要な役割を果たすことが示唆された。

 

過疎地域に立地する地域企業の立地適応に関する一考察

 

西田 陽子(明治大学大学院 政治経済学研究科) 
 
論文要旨▼
 
本研究は、過疎地域に立地する地域企業が、必ずしも最適な立地を選択していない状況で、どのような立地適応を通 じて立地的制約を克服し、事業を継続しているのかを明らかにすることを目的とする。島根県大田市大森町に立地する2社 を事例に、公開資料をもとに経営行動を分析した。分析は、両社が直面する「市場へのアクセス」「人材確保」という立地 的制約に着目し、地域企業が「場所の価値」の再解釈や技術の差別化を通じて地域外の市場への適応や人材確保を実現して いることを確認した。地域企業が立地適応によって立地的制約を克服することが、当該企業の事業の継続だけでなく、結果 的に地域再生・活性化にも寄与しうる可能性が示唆された。
 

 

サードプレイス型ローカルメディアが地域編集に及ぼす影響 -静岡県三島市など4地域の事例から- 

 

                                                                     本多陽子、石山恒貴(法政大学大学院政策創造研究科) 

 
論文要旨▼
 
本研究では、一方向の情報伝達が主流であった従来型ローカルメディアに対し、双方向交流を重視するサードプレイス型 ローカルメディアに着目し、地域資源を活用して新たな価値を創出する地域編集機能のメカニズムとその地域への影響を検 討した。その結果、サードプレイス型ローカルメディアには、地域独自の情報を生成し発信機会を拡大することで地域課題 の解決や魅力の発見を促進する、地域編集機能のメカニズムが存在することを明らかにした。さらに観光まちづくりや地域 産業強化など地域経済の活性化にも寄与し、地域社会での持続可能な発展への貢献があることも示された。サードプレイス 理論にも新たな視点を提供する役割を果たしていた。 
 
 
 
●地方エコシステムと中小企業特性の関係分析による優位性獲得と成長メカニズムの解明 ― 大都市から地方に移転した中小製造業の事例 ―  
                         

                    山本樹育(YAMAKIN株式会社), 那須清吾(高知工科大学)

 

論文要旨▼

地方エコシステムには多様な中小企業があるが、本研究では成長する中小企業の企業特性と経営戦略について一企業の事 例に基づき分析した。地方エコシステムと企業の関係性について、組織間関係論をベースにしたVSOモデルで分析し、成長 する中小企業がどのような特性変数と経営変数を持っており、成長の過程でどういう経営戦略をとることによって、地方エ コシステムの組織との共同戦略や経営資源の交換を行い、不利な変数を有利に変換し、地方のエコシステムと共に進化した のかについて、そのプロセスとメカニズムを明らかにした。多様な事例にあてはめることのできる地方での中小企業の成長 メカニズムの一般論化に必要な基礎論理モデルを構築した。

 

 
 

事例報告

東大阪市における公民連携による「モノづくり企業」の持続的な発展に向けた取組み 

 

石原 肇(近畿大学) 

論文要旨▼

本報告の目的は、大阪府東大阪市における公民連携による「モノづくり企業」の持続的な発展に向けた取組みを明ら かにすることである。東大阪市の「モノづくり企業」は、オープンファクトリー等を実施したり、同市が実施するイベント へ参画したりしている。東大阪市では都市計画の特別用途地区として「工業保全地区」を設定しており、産業振興施策では 2002 年に東大阪ブランド推進機構が設立され、同市から誕生した製品の魅力を都市ブランドとして発信している。引き続 き同市では「モノづくり企業」の持続的な発展に向け公民が連携した取組みを今後さらに展開していくものと考えられる。 

 

 

ホテルにおける人協調型ロボティクスの実装・実験-まちづくりにおける情報伝達に関する研究-

      

                                                                                                                    上山肇(法政大学)

 
論文要旨▼
 
本研究では、人協調型ロボティクスの実装・実験により、接客・運搬・清掃等の各業務を担うロボットをホテル・リゾー ト施設において稼働させ、ロボットのオペレーション業務・動線確保等を含む適切な運用方法及びロボットのパフォーマン スを最大限発揮しうる「ロボットフレンドリーな環境」を整備・構築することを最終目的としているが、本稿では、その前 提となるホテル従業員を対象とした事前調査の結果をまとめたものである。 調査の結果、次の3つの視点から知見を得ることができた。①効率的な運営・経営が求められていること ②労働力不足に よる従業員の労働環境改善の必要性があること ③ホテルにおけるロボット活用の可能性が大きいこと  
 
 

地域ビジョンの達成に向けた地域活動を有機的に発展させる研修旅行の実施要件 「小田原市デジタル田園都市国家構想総合戦略」の取組みを記事にするという研修旅行の受入れ効果に関する研究

 

鈴木誠二(東京成徳大学) 
 
論文要旨▼
 
「小田原市デジタル田園都市国家構想総合戦略」の取組みを記事にするという研修旅行の受入れは、地域ビジョンの達成に 向けた地域活動を有機的に発展させる「トリガー」となった。成果を見出す研修旅行の実施要件は、①デザイン思考のプロ セスに則って、地方自治体が実施計画を立案し展望が見出せるまで伴走すること。②研修旅行者を、「経営学の実践能力を証 明するエビデンスとして、取材した企業の紹介記事を作成し、成果物を就職活動に活用することを目論む大学生」とするこ と。③研修旅行の成立目的を、地域活動を有機的に発展させるプロモーション及びアクセレレーター策とすることであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地方の小規模企業者を廃業から救う仕組みの構築と実践 ~株式会社ノトツグを事例として~ 

 

友田 景・山中 裕子 (株式会社ビズデザイン大阪)
 

論文要旨▼

深刻な人口減少と産業衰退が進行している能登地域で、小規模企業の事業継承を行う株式会社ノトツグの取り組みを報告す る。ノトツグは、地方に若い経営者を増やすことをKPIとして、民間の力を結集させてネットワークを築きながら廃業問題 に取り組み、複雑な要素が絡み合う地域の産業活性化を目指す株式会社である。本論の事例研究から、地方の産業を持続さ せるために重要な点として、組織間の契約締結などに基づく裏打ちされた関係性において少人数で力を結集させること、関 係する主体が目的や目標を十分に共有していること、行政主導ではなく民間主導で補助金・助成金等に依存しないキャッシ ュフローに基づいた自走可能な活動を構築することが示唆された。

 
J リーグシャレン!(社会連携活動)における新たな市民協働の試み - FC東京「TOKYO SOCIAL COLLABORATION」の可能性を市民協働の観点から - 

                       

        橋本 佳明(法政大学大学院 政策創造研究科) 上山 肇 (法政大学大学院 政策創造研究科)

 

論文要旨▼

Jリーグ、JクラブはJリーグシャレン!(社会連携活動)取り組みを推進している。本研究では、Jリーグ全60クラブ のシャレンの実態を分析することにより、その活動内容の傾向を明らかにする。さらに、ファン・サポーターがシャレンに 主体的に関わる市民協働の取り組みに着目し、FC東京が2024年よりスタートさせた「TOKYO SOCIAL COLLABORATION」の取 り組みを事例として、その目的、戦略、ポジション、ゴール、組織形態、運営、コミュニティ、活動実態などを検証するこ とにより、従来のシャレンの枠組みを超えたファン・サポーターによる自律・自走し、永続可能な社会貢献に資する新たな 市民協働の取り組みの可能性を明らかにした。 

 

研究シーズ紹介における対面実施およびオンライン実施の比較研究 ―島根大学「技術コミュニティラボ」の実践事例― 

                                   服部 大輔(島根大学 地域未来協創本部) 

論文要旨▼
 
島根大学では、地域企業と大学の交流を目指した少人数・双方向性の研究シーズ紹介とライトニングトーク(LT)をあわ せて「技術コミュニティラボ」と称し、これまで対面とオンラインで開催してきた。本研究では、技術コミュニティラボの 対面開催とオンライン開催における参加者数、後日面談数、共同研究受入額などを比較し、地域企業との連携への効果の違 いを明らかにすることを目的とした。参加者数と後日面談数は、少人数・双方向性の研究シーズ紹介では有意差はなかった。 一方、LT では対面開催の方が多かった。共同研究受入額は、対面開催では、少人数・双方向性の研究シーズ紹介の平均値が 約86万円、LT の1回目の合計値が260万円だった。一方、オンライン開催では、いずれも0円だった。
 
 
関係人口と地域住民が紡ぐゆるやかな繋がり -共食を通じた大垣市御殿町自治会の再活性化-
 

                                             平塚弥生(情報科学芸術大学院大学) 

論文要旨▼

本研究は、高齢化による自治会の弱体化を再活性化するため、地域住民のみならず新たな地域の繋がりを構築し、新しい 自治会の可能性を探求することを目的とする。中心市街地に位置する大垣市御殿町自治会を対象に実施した共食イベントを 通じて、地域住民と非居住者が自然に交流し、多世代間の連携やゆるやかな繋がりが形成されていくことが参与観察から明 らかになった。有志による柔軟な実行委員会の活動は、地域活動への心理的ハードルを下げるとともに、住民同士の信頼や 相互扶助の強化に寄与した。また、住民の主体的な課題解決と、多様な背景を持つ自治会地域外の人たちとの協働が、地域 の活力を高めることを示した。本研究は、他地域への応用可能性を視野に入れ、新たな地域の繋がりの在り方を提示するも のである。さらに、共食を通じた柔軟な交流が自治会の役割を再構築し、地域全体の協働意識を醸成する可能性を示した。

 

2次元アイドル作品におけるツーリズムおよび交流に関する一研究 ―『IDOLY PRIDE』、『THE IDOLM@STER MILLION LIVE!』の各ファンを対象としたアンケート調査から― 
 
 

                                                                                                    平林 柚葵(法政大学大学院 政策創造研究科)   

論文要旨▼

2次元アイドル作品におけるコンテンツツーリズム研究では『ラブライブ!サンシャイン!!』を事例とした研究が 多くみられる。しかし、他の2次元アイドル作品でも、地域振興や関係人口の創出などにつながる可能性がある取組みが進 められている。本研究は、2次元アイドル作品のファンが実践している観光、消費、交流といった行動を明らかにすること を目的に2作品を取り上げ、アンケート調査と参与観察を行った。その結果、2次元アイドル作品のファンは聖地で音楽を 活用した体験を求めていることや、コラボイベントでは等身大パネル撮影をするファンが多いこと、ファンの間では名刺を ツールとした交流が行われていることなどが明らかになった。

 

しまなみ未来社会人材育成プラットフォームによる地域共創型リカレント教育の展開 

 

                         正本 英紀(愛媛大学 地域協働推進機構) 

論文要旨▼

愛媛県今治市と広島県呉市において、Town&Gown構想を推進するため、産学民官金連携による地域共創型リカレントプロ グラム開発のためのプラットフォームを構築し、合わせて23会員の加盟を得られた。これと併せて、経営者や管理職、あ るいはNPO理事等の候補者を対象としたパイロットプログラムの開発及び先行実施を行ったところ、愛媛県・広島県内外か ら20名の正規受講者を得ることができた。 

 

●地域おこし協力隊インターンシップを活用した大学生と行政職員の協働実践に関する研究-北海道音威子府村での実証を通じて-

 

                            横山貴志(北海道科学大学、前・音威子府村役場)

 

論文要旨▼

北海道で最も人口の少ない音威子府(おといねっぷ)村では、年から年間、都市圏の大学生との協働まちづ くり事業を実施し、年から派生事業として地域おこし協力隊インターンシップ制度を活用した大学生と若手行政職員 との協働まちづくり試行を行っている。地域外から若者が訪れ滞在し活動することでの地域への効果は、移住定住や関係人 口創出だけではない。インターンシップ受け入れを、若手行政職員の資質向上にもつなげることを意識し実証を行った。地 域に関心のある大学生と、地域で仕事をする職員とが同じ目線で協働することができる事業構想と試行・実証の積み重ねか ら、職員資質向上が見えつつあるとともに、地域内外との交流は小規模自治体でもさまざまな可能性があることが見えた。


地域活性学会 事務局(堀本・那須)
高知県高知市永国寺町6番28号 高知工科大学 地域連携棟4階
社会マネジメントシステム研究室内
TEL:088-821-7211

学会事務局新代表メールアドレス:info@chiiki-kassei.com

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