今日の少子・高齢化や経済のグローバル化は、わたしたちの生活を根底から変え、地域固有の豊かな文化や営みが急速に失われつつあります。いにしえよりこの国を支え、礎(いしずえ)ともいえる地域が、今まさに崩壊の危機に直面しているのです。 このような事態に対処するため、平成17年4月には地域再生法が成立、「地域再生」にむけて、国をあげた取り組みが始まりました。一方、全国各地の自治体や企業、住民らもまた、それぞれ創意工夫を重ねながら、地域を元気にする活動に精力的に取り組んでいます。しかしながら、その政策づくりや実際の活動現場においては、いまだ確固とした理論や方法論がなく、手探りあるいは試行錯誤の状態が続いているのが現状です。 こうした中、平成18年度から、全国各地の大学が、内閣官房・内閣府と連携しながら「地域再生システム論」というたいへんユニークな授業科目を開講することになりました。その輪は徐々に広がり、平成20年3月には、「地域再生システム論」を開講する10大学で組織する「全国大学地域再生ネットワーク」が主催者となり、内閣府の後援のもと、「地域再生フォーラム」を新丸の内ビルディング(東京)において開催できるまでになりました。 フォーラムには、地域再生ないし地域の活性化に関心を持つ全国各地の大学研究者のほか、国や地方自治体の職員、NPO、産業界からも多彩なメンバー約200名が参加し、本テーマに対する関心の高さをうかがわせるものとなりました。その準備過程において、こうした活動を継続するために学会を創設すべきとの意見が多数をしめ、フォーラムにおいてその趣旨を公表したところ、参加者全員から絶大な支持を得るところとなりました。これを受けて、主催者有志が集まり、学会の準備会を結成し、幾度か議論を重ね、わが国の重要な社会課題、政策課題である地域活性化をアカデミズムの立場から支援するべく、「地域活性学会」を創設することにいたしました。 私たちには、従来ある地域経済の活性化関連の学術活動では疲弊した地域への原因を追究するのみで、その後の解決策を提示するという活動が希薄であるという共通認識があります。そのため、本学会では学術研究者の分析とともに地域で実際活動をおこなっている種々民間団体、さらに制度・予算の面で支援する行政主体の参加も募り、より実践的な政策提言・地域活性化の取組支援につながる学術研究活動を目指す所存です。 具体的な活動としては、 1)地域活性化を担う専門的な人材の育成 (教育) 2)地域活性化の理論と方法の学際的な探究 (研究) 3)地域活性化に関する研究成果の地域への還元 (地域貢献・政策提言) 4)地域活性化に関する国内外の研究ネットワークの構築 (国内連携・国際交流) の4点を柱に据え、活動してまいります。 本学会の設立趣旨をご理解いただき、皆様の積極的なご参加を心よりお待ちいたしております。