■地域活性学会 第8回研究大会
テーマ :「小さなまちの挑戦〜地方創生とまちづくり」
日 程 : 2016年9月2日(金)〜4日(日) ※9月2日(金)はエクスカーション
会 場 : 長野県小布施町役場、北斎ホールほか小布施町役場周辺の会場
>>開催記録「第8回研究大会」
小さな町の挑戦〜初物尽くしで盛り上がった小布施大会
地域活性学会会長 大宮 登
地域活性学会第8回全国研究大会が、9月2日〜4日、長野県の小布施町で開催された。この小布施大会は、本学会で「はじめて」のことが次から次へと生まれた記念すべき大会となった。まず、ひとつ目は、小布施大会が「大学のない町」での開催であったことだ。人口が1万1千人ばかりの小さな町での開催は、容易いものではない。先ず、会場の確保が難しい。研究発表ができる10前後の会場が必要である。それに、参加者の確保も不安なところである。
ところが、今回の二つ目の初めては、小さな町での開催にもかかわらず、参加者が360人を数えたことである。本学会における最大規模の参加者数となった。会員数が810人の学会で、全国研究大会参加者が300人を超すということは、非常に稀である。しかも、公開の記念講演やシンポジウムだけの参加者数ではない。学生を動員した数でもない。シンポジウムや研究発表に参加してくれた本物の参加者数である。
3つ目は、研究発表者や登壇者が約140人を数えたことである。これも学会史上最大数である。そのために研究発表の部屋を11会場作らなければならず、裏方は大変な状況であった。当初使う予定ではなかった小学校の教室も、音楽堂も、蔵も使うことになった。そのため、急遽、パソコン、プロジェクター、スクリーンの不足分を、高崎経済大学、金沢星稜大学、信州大学、法政大学から借用し、運んだ。その結果、本当に手作りの学会となった。懐かしい小学生の机やいすで、熱心な研究討論が行われている風景は素敵であった。
4つ目は、町民の皆様の積極的な参加であった。市村小布施町長の「こんな機会はめったにないので町民の希望者にも研究発表を聞かせたい」という要望を受けて、町民を招待したところ、数多くの町民の参加を得ることができた。お陰で、どの部屋も外の暑さと呼応するように熱気にあふれていた。特に、2日目の午後のシンポジウムは、予想をはるかに超える約130人が最後まで熱心に討論に参加していただいた。
そして、5つ目が、新たに立ち上げられた3つの研究部会であろう。スポーツ振興部会では、御園副会長が東京オリパラのホストタウンをまちづくりに生かす研究会を立ち上げた。地域おこし研究部会では、中嶋副会長が若手の地域おこし協力隊の現役やOB、OGとともに、地域おこし協力隊の課題や方向性を明確にする研究会を立ち上げた。そして、公益資本主義推進研究部会では、舘副会長が寺田耕治氏とともに、公益資本主義の理念と方向性をめぐって研究会を立ち上げた。いずれも、重要な研究テーマであり、本学会の研究水準を飛躍させる可能性を含む部会であり、楽しみである。
そんな初物尽くしの中で、開催した研究大会は、大会テーマのとおり、「小さな町の挑戦」にあふれていた。50人を超すエクスカーションの参加者、基調講演の小泉秀樹東大教授をはじめとして、シンポジウムに登壇した皆様のクオリティの高い問題提起、多彩な内容の研究発表、いずれをとっても知的刺激に富むものであった。大宮透大会実行委員会事務局長の次のような言葉は、学会の理事会としても同感である。
「参加していただいた研究者の方々からの感想を聞いてみると、例年になく手作り感にあふれ、それが熱気を生んでいた「地域活性を研究する学会にふさわしい」研究大会だったと感じていただけたようだった。またシンポジウムなどに参加していただいた町民の方々からも、「こういう機会を小布施で開いてくれてありがたい」という言葉を何度もいただいた。ホスト側として、そのような声を聞くことができ、ただただ、ほっとする。」
最後になりましたが、市村良三小布施町長をはじめとして、町役場や小布施町の関係各位のご協力に心から感謝します。そして、3日間、受付や会場運営に、裏方で奮闘してくれた高崎経済大学、金沢星稜大学、信州大学、東京大学の学生の皆さんに、心から感謝します。彼らの頑張りがなかったら、大会は運営できませんでした。さらに、私事ではありますが、大会前に入院してご心配とご迷惑をおかけしましたことを、心からお詫びして会長の大会報告とします。本当にありがとうございました。
2016年9月12日

|